実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第40回特別研究指定校(活動期間:平成26~27年)

揖斐川町立 揖斐小学校 /平成26年度1-3月期

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

1年間の取り組みの成果
1年間の自己評価・感想

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

ICT機器を活用し、道徳と関連付けた情報モラル教育の推進

[成果目標]

(1)心の領域に重点が置く情報モラルの授業と智恵を磨く領域に重点を置く授業を,情報モラル検定とワークシート,発話記録の分析から比較するため,情報モラルの授業で扱う内容と道徳の時間で扱う内容項目との関連を明らかする。

(2)情報モラルに係る児童会の取り組みを支えるPTAや地域の活動を開始しており,児童と保護者の意識の変化,家庭・地域へのはたらきかけによる家庭での児童のICT活用時間,内容,家庭での約束の達成率などを定期的に測定し,学校・家庭・地域の連携の在り方について明らかにする。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

[取り組み内容]

  • 校内委員会にて2学期の研究をまとめ,3学期の研究計画を修正(1月)
  • 校内研究会指導案の検討(1月)
  • 校内研究会(2月2日)  情報モラルの授業と道徳の時間を連続して実施

4年:情報モラル「CDにこめられた思い」,道徳「クラスのマーク」

揖斐川町立揖斐小学校の活動報告イメージ01

情報モラルの授業で、主人公の行動について活発に意見を発表する

揖斐川町立揖斐小学校の活動報告イメージ02

情報モラルの授業で、著作権についてグループで考える

揖斐川町立揖斐小学校の活動報告イメージ03

道徳の時間で、情報モラルの授業とつないで意見を発表する

  • 校内委員会にて3学期の研究のまとめ(2月)
  • 校内委員会にて1年間の研究のまとめ(3月)
  • 来年度の方向を検討(3月)

アドバイザーの助言

  • 本年度の成果を基に45分で実施できる情報モラルの授業の提案
  • 情報モラルの授業と道徳の時間などとの関連づけの提案
  • 事前調査で使用している「正直」及び「節度」の尺度の改善
  • 小中学校,家庭,地域を結んで子ども主体で取り組むインターネット利用の事例提案
 

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 
  • 情報モラルの授業と道徳の時間を連続して実施することで,子どもがそれぞれの内容を関連づけて発言したり,ワークシートやノートの感想に書いてきたりするようになった
  • 町役場で実施された中学生教育委員会(1月)で,各校の話し合いを基にインターネットの利用の仕方について話し合った

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成果

 
  • 情報モラルの授業と道徳の時間を連続して実施

情報モラルの授業のねらいと道徳の時間のねらいを明確にして実施することで,次のことが明からなってきた

  1. 情報モラルの授業では,知恵の領域の内容を中心に扱って一人一人の理解を深めることができた
  2. 道徳の授業では,心の領域の内容を扱って,道徳的価値の自覚及び自己の生き方についての考えを深め,道徳的実践力を育成することができた
  3. 「節度・節制」の道徳的価値観を含む情報モラルの教材と道徳の読み物資料を用いたため,情報モラルの授業と道徳の時間の子どもの意識がつながりやすく,子どもから関連づけた発言がなされた
    「誠実・正直」を扱った場合も同様であった
  4. 情報モラルの授業のホワイトボートの板書を教室の側面に移動させるなどの工夫をすることで,道徳の時間に子どもが前時の板書を指し示すなどして発言をしていた

(①~④は,授業の観察,発言,情報モラルの学習プリントと道徳のノートから分析)

  • 町内の小中学校で実施されたインターネット利用に係る調査結果を基に,各児童会や生徒会で話し合いができた。子どもが実態を基に問題点を整理したり解決策を考えたりする上で,児童会や生徒会担当教師はアドバイザー的な役割を果たし,子ども中心に話し合いをもった。このことが子どもの主体的な活動につながり,生徒会の代表が集まって話し合う中学生教育委員会で,各校の代表から建設的な意見が相次ぎ,宣言として採択された。中学生教育委員会に参加していた町長・教育長からも支援してもらえることになった。

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今後の課題

 
  • 情報モラルの授業と道徳の時間を連続して実施するカリキュラムを常時,計画することは難しい。しかし,ねらいを明確にして,授業で知恵の領域や心の領域を取り上げて,これらを関連づける工夫をすることで解決できることが明らかになってきた。
  • インターネット利用に係る調査を継続し,常に子どもの視点から問題を見つけ,解決する自治の活動を継続させる。

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1年間の取り組みの成果

 
  • これまで,情報モラルを教科・道徳などと関連づけて実施することの重要性はわかっていた。しかし,検証は行われてこなかった。授業のねらいを明確にして情報モラルの授業と道徳の時間を連続して実施する実証授業から,子どもが関連づけて発言したりワークシートに書き込んだりすることが確認できた。
  • インターネット利用に係る調査を基にした子ども主体の活動をPTAが支援した。この活動を小学校から発信して,町内の小中学校に広げ,各校の実態を基に町内小中学校の子ども主体の活動を開始することができた。

揖斐川町立揖斐小学校の活動報告イメージ04

教室に掲示された「揖斐小学校インターネット利用の約束」を全校で守り続ける

揖斐川町立揖斐小学校の活動報告イメージ05

情報モラルや道徳の時間に学んだことを集会で発表する

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1年間の実践を終えての自己評価・感想

 

上記1年間の取り組みの成果に記載したとおり,計画に沿って1年目の活動を実施できた。この成果を基に次年度は次の内容を実施する

○情報モラルを教科・道徳などと関連づけて実施

  • 45分間で実施できるよう,授業のねらいを明確にして情報モラルを扱う道徳の時間を計画し検証
  • 授業を連続して実施できない場合の関連づけの工夫
  • 事前調査で使用している「正直」及び「節度」の尺度の妥当性の検証と,学年・発達段階に応じた改善

○学校・家庭・地域をつなぐ情報モラル教育

  • インターネット利用を含む情報モラル教育に係る活動全体を児童会・生徒会が継続してリードする仕組み
  • 情報社会の進展に伴う新たな課題への対応

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アドバイザーコメント

横浜国立大学 教授 野中 陽一 先生

 
野中先生

これまでの授業研究の取り組みから、「授業のねらいを明確にして情報モラルの授業と道徳の時間を連続して実施する実証授業から,子どもが関連づけて発言したりワークシートに書き込んだりすることが確認できた。」という成果につながった要因は、大きく分けて二つあると考えられます。

一つは、教材の選択です。「「節度・節制」の道徳的価値観を含む情報モラルの教材と道徳の読み物資料を用いたため,情報モラルの授業と道徳の時間の子どもの意識がつながりやすく,子どもから関連づけた発言がなされた。」とあるように、20分の情報モラルの授業(学級活動等)と40分の道徳の授業の関連性を高める教材の選択がポイントとなります。さらに、「情報モラルの授業のホワイトボートの板書を教室の側面に移動させるなどの工夫をすることで,道徳の時間に子どもが前時の板書を指し示すなどして発言をしていた。」ことから、両方の授業をつなげるための情報提示の工夫も欠かせないことがわかります。

もう一つは、これまでの他教科での学習活動や生活における経験を児童自身が関連づけて考えられるようにすることです。授業中、昨年度、校長先生が行った情報モラルの授業の内容を児童が想起する発言がありました。学校全体のカリキュラムに情報モラルを位置づけ、実践することによって、道徳の授業の中で知恵と心を結びつけることができそうです。「町内の小中学校で実施されたインターネット利用に係る調査結果を基に,各児童会や生徒会で話し合う」ことや、「生徒会の代表が集まって話し合う中学生教育委員会で,各校の代表から建設的な意見が相次ぎ,宣言として採択された。」といった活動は大きな意味をもつと思います。

今後は、これまでの成果を踏まえて、「45分間で実施できるよう,授業のねらいを明確にして情報モラルを扱う道徳の時間を計画し検証」すること、道徳の授業との関連を考慮しながら「学校・家庭・地域をつなぐ情報モラル教育」を一層充実させることが課題となります。

揖斐小学校のこうした取り組みが「特別の教科 道徳」(仮称)の実践に寄与することを期待し、応援したいと思います。

 

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