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実践研究助成
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横浜市立立野小学校の活動報告
平成22年度4〜7月
実践研究助成
(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)
活動情報/第35回特別研究指定校
セールスポイント
新年度研究体制の確立
新しい年度が始まり、本研究も2年次となる。新しい職員も加わり研究を全体化するためにICT部会を立ち上げ、各学年から1名以上が加わることとなった。研究は授業実践を中心とすること、部会を月2回程度、全体会を月1回程度開催すること、研究発表会を10月29日とすることなどを確認した。
研究内容の確認
昨年度の研究から見えてきた「ともにかかわり合いながら問いを追究し解決する中」での効果的なICT活用について研究を深めていくことを確認し、具体的な視点(後に研究を進める中でこの視点を整理し、具体的な活用場面が明らかになってきた)として
ICT活用による「材」と学習過程の工夫
「自分ごと」になるためのICT活用
かかわり合う力を育てるICT活用
を掲げた。
機器操作についての実践的な研修の充実
昨年度は主に機器操作を得意としている担任がICTを活用した授業を多く行っていた。本年度は、「日常の授業の中で教師も児童もICTを活用していくことが、ICT環境を整えることになる」との認識のもと研究を行っている。そこで校内での機器操作についてや機器メーカーの方を招いて他校でどのような実践例があるのかなどの研修を行った。学習中どの場面でICTを使うことが有効なのか、これまでの経験や他校の実践例をもとに学ぶことができた。
授業研究会の充実
授業はもちろん、研究会の指針ともなる指導案の中に、ICT活用についての観点を明確にしていくことを確認した。
授業後の研究会では生活科部会・社会科部会・生活単元学習部会毎に分かれ、それぞれの教科自体の授業としてどうであったか、その中でのICT活用の効果はどうであったのかを検討していった。また7月の授業研究会では、全体会に、本校を担当して頂いている横浜国立大学 野中先生をはじめ、玉川大学 堀田先生、富山大学 高橋先生、和歌山大学 豊田先生から、これまでの研究の整理と今後の研究の方向性についてご指導を頂いた。
実践経過
4月
1日 研究推進委員会による組織・年間計画の確認
2日 全体会での年間計画・研究テーマ等提案・検討
9日 ICT部会による指導案形式の提案・授業研究会計画及び役割分担提案
*学年及び各部会で、発表会での授業者決定・単元等の検討
(指導案形式の提案)
5月
13日 ICT授業研究会(2年・6年)
18日 授業研究会及び野中先生ご指導を受けての研究の方向性について提案
実技研修(モニターの配線について、実物投影機の操作等)
6月
4日 ICT研修会 野中先生より:めざすICT活用について
機器メーカー担当様より:実物投影機の活用方法
28日 発表会までのスケジュール・出版物提案
7月
6日 発表会指導案検討
8日 ICT授業研究会(2年・3年・4年・5年・6年)案
講師:横浜国立大学 野中先生、玉川大学 堀田先生、富山大学 高橋先生、
和歌山大学 豊田先生
*全学級に実物投影機を設置
*発表会1次案内発送、発表会紀要等出版物作成
*成果報告会発表資料作成
成果と課題
●成果
本年度は、研究の成果を発表会として表すことになる。昨年度までの取り組みを整理し、研究を深化させるための体制が重要となるが、研究推進委員会を中心とし、また新しくICT部会を立ち上げるなど、体制が整った。昨年度の課題であった機器の機能を生かすために必要な操作についても研修を行うことができ、日常的にICTを活用する授業が見られるようになってきた。特に実物投影機については、研修や日常使用している状況から全クラスに欲しいという要望が多くの教員から出された。あるから使うのではなく、ICT機器を使うことで授業が充実するから必要という認識は、本校のICT活用の研究内容とも重なる部分であり、研究が進んできていると実感できるものだと考える。
研究内容の視点については、2回の授業研究会から、本校研究内容全体テーマの内「自分ごと」「かかわり合い」の観点において研究を進めていくことの有用性と具体的なICT活用場面で検証していくという方向性が整理された。
●課題
大きく分けて2つのことが課題として見えてきた。1つは発表会での提案授業の方法である。これまでの授業研究会では、話し合い活動が中心の「かかわり合い」の観点での授業が多く提案されてきた。日常の授業では「自分ごと」にしていくための学習場面で、デジカメやインターネットなどを活用しているが、個人の活動が主となり学級に子どもがいないような状況も考えられる。そのような場面をどう提案していくかが発表会へ向けての課題としてある。
また、これまでの研究の成果を具体的な形でどう示していくかが、昨年度から引き続き課題として残っている。子どもの発言や活動の様子の変容を客観的に示していくことが必要と考え、今後も検討していく
裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)
新年度となり、ICT活用についての担当が変わった。研究の継続性を大切にしながらも新しい視点で具体的なICT活用法が提案できれば・・・などと考えていたが、日々の授業や業務、研究の推進だけでも手一杯・・・。機器の配置・保守整備までこなしていた前任者の苦労が思われる。長期的に見て無理のないICT活用を考えたとき、ICTに関する業務をどのように位置付けていくかもこれから先の課題かな、などボーっと考えつつ、とりあえず、おもしろそうな資料をスクリーンセーバーで職員室に流しておこうと計画中です。
解説と講評
コメント:横浜国立大学 准教授 野中陽一 先生
特別研究指定も2年目を迎え、ICT活用に対する教員の意識が大きく変わったようである。研究的視点によるICT活用から、日常的なICT活用へと広がりが見られるようになった。この背景には、各教室に大型ディスプレイ、2教室に1台実物投影機が設置されたというICT環境の充実もあるが、ICT活用に対する子どもたちの反応から、その効果を多くの教員が実感し始めていることが大きいだろう。その結果、全教室への実物投影機設置が多くの教員によって要望され、7月に実現されることになった。さらに、お互いの活用アイディアの共有と全国の実践事例の紹介を中心とした教員研修を行うことによって、活用の幅が広がり、一層の工夫が進められるようになっていったのである。
研究授業では、児童が実物投影機を活用して発表する場面が増えてきた。子どもたちのノートには、文字だけでなく図や表が書かれるようになり、わかりやすく伝える表現の工夫が見られ、子ども同士の意見交換もさらに活発になっている。それとともに、一斉場面での話し合い活動に加え、少人数での話し合い活動など、学習活動の多様化も試みられるようになってきた。もちろん、その背景には、それらを促す教師の意図的な指導がある。
これらは、「ともにかかわり合いながら問いを追究し解決する」学びの現れであり、ICT活用がその実現に寄与していると言えるだろう。
今後の研究では、これらの成果を教師の実感レベルから、子どもの発言や活動の様子の変容を具体的に示すエビデンスを提示する工夫を行うことであろう。