解説と講評 |
コメント:富山大学 准教授 高橋 純先生 |
村岡小学校では,「いつでも,だれでも,どこでもICT」を合い言葉にICT活用に取り組んでいる。この実現の最初の一歩は,ICT機器を教室に「常設」することである。その際,高価で優れた機器を数台整備することよりも,安価でこなれた機器をすべての教室に常設することがポイントになる。そして,大きく映す機器(プロジェクタ,大型ディスプレイ,電子黒板等)のみならず,大きく映す内容(実物投影機,指導者用デジタル教科書,デジタルコンテンツ等)の両者を整備することが欠かせない。村岡小では,「プロジェクタ+実物投影機」という安価でこなれた組み合わせを中心とし,すべての教室に整備を行った。 適切なICT機器が各教室に常設されれば,多くの教員はICT活用を始めることができる。その際,村岡小のいう「わかりやすく、日常的に、無理なくICTを活用する」がポイントになる。まずは,教員が「説明」や「指示」をするといった授業場面でICTを活用することで,日常的で無理のないICT活用が始められる。説明する場面や指示をする場面は,どの授業でも必ず数回はある。その時,教科書の図表などを大きく映しながら,「説明」や「指示」をすれば,口頭のみの場合に比べればわかりやすくなる。このような活用は,従来からの授業スタイルを大きく変えず,むしろ教科書の図表などを大きく映して教えたいといった多くの教員の願いを叶えることになる。多くの時間を割いて準備をして,特別で,たまに行うICT活用ではない。このような気楽なICT活用だからこそ,ICT機器の常設が重要となる。 教員によるICT活用が始まれば,自然と児童の発表活動でもICTが活用されることになる。まずは,ノートに書いた児童の考えを発表するといった,どの授業でも当たり前に行われている学習活動場面でICTを活用する。実物投影機でノートを大きく映す程度の活用であるが,言語活動の充実など効果は大きい。 村岡小では,このような日常的で無理のないICT活用がすべての教員に定着をし,効果が得られている。今後は,これらのノウハウが長く継承されるような仕組みづくりが欠かせないだろう。 |