実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第37回特別研究指定校(活動期間:平成23〜24年)

勝山市立村岡小学校の活動報告/平成23年度8月〜12月
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セールスポイント

<研究テーマ>
「楽しく なるほど よく分かる 授業づくり」〜ICTで分かりやすく伝えて〜

  • 「いつでも、だれでも、どこでもICT」を合い言葉に朝の活動から6限目終了まで教室のプロジェクター、実物投影機などはすぐに使える状態に設置しておいた。また、研究会、研修会はデジタルカメラ画像やビデオ映像を資料にして討議の活発化と焦点化を図り、短い時間で内容のあるものとした。
  • 「わかりやすく、日常的に、無理なくICTを活用する」ことで、従来の授業スタイルを変えない。従来の授業スタイルとは「実物に触れる、ワークシートを活用する、写真を貼る、板書を工夫する」など小道具を使ったり、見やすく板書をしたり体験を授業に取り入れたりすることである。
  • 教師だけでなく児童も日常的に自由自在にICTを使いこなせるようにした。児童が発表するときに児童自身が機器を操作することで、教師は板書に集中できる。
  • 教師はICTを使い、工夫して授業することを楽しむことにした。どのように伝えればよいのか、そのためにはどの場面でどの様にICTで提示すればよいのかなどを考えることそのものを楽しむことにした。そのためには、児童の視点に立つことが必要である。

実践経過

8月 22日(月) 県視聴覚教育研究大会指導案検討会
ICT活用の有効性など授業の組み立てが適切であるかを検討した。
 
 
9月 22日(木) 指導案検討研究会
(高橋先生・野中先生からの御指導)
県視聴覚研究大会に向けて指導案の検討と授業検討会を行った。授業は研究大会の授業と同じ教科を参観していただき指導を受けた。

 
10月 11日(火) 後期指導主事学校訪問研究会
(勝山市視聴覚研究会の先生方も参加)
当日と同じ流れで授業参観や授業研究を行った。

 
  28日(金) 県視聴覚教育研究大会
授業参観と授業研究、パネルディスカッションを行った。
 
11月 25日(金) 校内授業研究会
(高橋先生・パナソニック桐井さんの参観と御指導)
低学年(1学年体育)高学年(4学年算数)
 
  28日(月) 校内授業研究会
高学年(5学年国語)
 

成果と課題

  • ICTに慣れてくると「どこで、なぜ、どのようにして」活用するのかが明確になってきた。
  • 児童の視点で授業を構成できるようになった。
  • ICTは授業の内容をより深く理解させる道具であり、従来の授業で使ってきたワークシートや掲示物などと変わらない。ただし、授業中ずっと掲示しておくことはできないため、拡大した掲示物や写真が必要になってくる。
  • 児童の発言や発表での重要な語句や言葉は板書で残すことがよい。ノート指導などに役立つ。
  • 電子黒板は、板書のスペースが広くなり便利であるが、設置場所により見え易さや見難さがある。
  • 児童に見せたい箇所を拡大表示やマークして見せることで、説明時間を短縮できた。
  • 児童の発表に資料を提示することは、発表内容の理解に役立った。

  • インターネットの映像を直接投影することで学習の資料としたり、説明の時間を短縮したりできた。

<課題>

  • 授業過程のどの場所でICTを使うことが有効なのかを考えることが難しい。
  • 今後長い間、すべての教師がICTを有効に使える様にするためのマニュアル作成
  • 村岡小学校の特色ある学校生活の標準化を行うための統一性とマニュアルの作成
 

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

  • ICTを使うことで、学習内容がよく理解できると答える児童が多くなった。
  • より理解を深めさせるには、ICTとワークシートなどをどう組み合わせると有効なのかを考えることに時間がかかりすぎた。
  • ICTを使うことで、児童の理解は深まったが、板書を忘れがちになり、学習の振り返りができないときがあった。

解説と講評

コメント:富山大学 准教授 高橋 純先生

 村岡小学校では,「いつでも,だれでも,どこでもICT」を合い言葉にICT活用に取り組んでいる。この実現の最初の一歩は,ICT機器を教室に「常設」することである。その際,高価で優れた機器を数台整備することよりも,安価でこなれた機器をすべての教室に常設することがポイントになる。そして,大きく映す機器(プロジェクタ,大型ディスプレイ,電子黒板等)のみならず,大きく映す内容(実物投影機,指導者用デジタル教科書,デジタルコンテンツ等)の両者を整備することが欠かせない。村岡小では,「プロジェクタ+実物投影機」という安価でこなれた組み合わせを中心とし,すべての教室に整備を行った。

 適切なICT機器が各教室に常設されれば,多くの教員はICT活用を始めることができる。その際,村岡小のいう「わかりやすく、日常的に、無理なくICTを活用する」がポイントになる。まずは,教員が「説明」や「指示」をするといった授業場面でICTを活用することで,日常的で無理のないICT活用が始められる。説明する場面や指示をする場面は,どの授業でも必ず数回はある。その時,教科書の図表などを大きく映しながら,「説明」や「指示」をすれば,口頭のみの場合に比べればわかりやすくなる。このような活用は,従来からの授業スタイルを大きく変えず,むしろ教科書の図表などを大きく映して教えたいといった多くの教員の願いを叶えることになる。多くの時間を割いて準備をして,特別で,たまに行うICT活用ではない。このような気楽なICT活用だからこそ,ICT機器の常設が重要となる。

 教員によるICT活用が始まれば,自然と児童の発表活動でもICTが活用されることになる。まずは,ノートに書いた児童の考えを発表するといった,どの授業でも当たり前に行われている学習活動場面でICTを活用する。実物投影機でノートを大きく映す程度の活用であるが,言語活動の充実など効果は大きい。

 村岡小では,このような日常的で無理のないICT活用がすべての教員に定着をし,効果が得られている。今後は,これらのノウハウが長く継承されるような仕組みづくりが欠かせないだろう。

 
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