本校の研究課題は「楽しく,なるほど よくわかる授業づくり 〜ICTでわかりやすく伝えて〜」である.ICTがサブタイトルであるように,研究の中心は,授業づくりや教員の指導技術の向上である.
各地の研究において,「ICT活用はあくまでも道具である」「大切なのは教員の授業力である」といった主張は,数多く見られる.しかし,いったい何をすることが,ICTを道具とみなした活用になるのか,ICTを用いた際の教員の授業力とは何なのか,本当の意味で具体的に示された例は,そう多くはない.
そういった中で,本校では,例えば,教科書のどの部分を,どの順番で拡大提示するのか,その際,教員は何と発話するのか等を研究し,道具としてのICTの効果的な活用法を具体的に示している.その際,ICT機器で活用される「機能」は,拡大提示程度である.ICT技術としては低レベルかもしれないが,これを使いこなすには,こういった教員の力量が欠かせない.つまり,ICTの機能をいかに活かすとか,ICTらしい活用を明らかにするといった視点ではなく,これまでの財産ともいえる各教員の指導技術をベースに,ICTの支援も借りながら,よくわかる授業づくりに取り組んでいる.
さらに,そのための校内研修も工夫に満ちている.教科書研修会,資料提示の工夫研修会や事前授業研修会など,これらの手法が多くの学校でも採用されれば,大いに役立つだろう.本実践は,授業実践の視点のみならず,校内研修の工夫という意味でも貴重な実践である.
2/22には公開研究会が開催される.本研究会では,教員によるICT活用が,指導技術の一つとして成熟して位置付いた姿が見られるだろう.