解説と講評 |
コメント:兵庫教育大学 准教授 永田智子先生 |
1〜2月の生活科の授業では,1年生がデジタルカメラで学校を紹介する写真を撮り,適切な写真を選び,プレゼンテーションソフトに貼り付けて,来年度入学してくる幼稚園・保育園の園児たちにプレゼンをするという学習が行われました.報告書にも書かれているように,1年生では難しいだろうと考えていましたが,先生の熱意と子どもたちの意欲でとても素晴らしい実践となりました.1年生でもこんなことまでできるのか!と驚きました.確かにソフトとハードの発達により,1年生でも簡単にICTの操作ができるようになりました.「デジタルカメラを使う」「プレゼンテーションを使う」という操作に関する力ではなく,「伝えたい内容をより分かりやすくする写真を選ぶ」「1枚の写真を使ってわかりやすく伝える」など,それぞれの学年で求められる情報活用能力とは何か,その本質を再考する時期に来たようです. 橋波小学校は,「多様な教科・領域における活用型学力の育成〜電子黒板やタブレットPCなどを用いた活用型学習の実践事例の創造〜」という研究課題を掲げて,1年目は当初の研究計画通り,実践が積み上げられていきました.@各教員は研究授業に限らず普段から電子黒板やタブレットPCなどを活用した実践事例の創造に取り組み,Aポスターセッションやグループ発表といった形式での実践報告会を行って実践を共有化し,B最終的に全教科・領域から各3本ずつ,合計36本の実践が出されました.本校のこうした研究スタイルは他校が見習う価値のあるものだと思います. さて,2年目に向けての橋波小学校の課題を挙げるとすれば,やはり「活用型学力の育成」という点でしょう.「電子黒板やタブレットPCなどを用いた活用型学習」という点では十分実践事例が積み上げられてきましたが,それで本当に「活用型学力」が育成されるのか,育成されたのか,といった点についてはまだ検討の余地がありそうです.たとえば,児童対象ICT活用のアンケートで,「一人で問題を解くときに、ICTを使った方が良い」という設問は,他の設問より肯定的な回答が低くなっていたそうです.つまり一人でのICT活用学習は,活用型学力の育成には十分機能していなかった可能性があるわけです.今後は,「活用型学力の育成」という点について,今まで以上に意識した授業づくりや実践を行うとともに,評価がなされていくことを期待します. |