解説と講評 |
コメント:兵庫教育大学 准教授 永田智子先生 |
平成24年度の1学期は、もはや定例となっている行内研修や研究授業、実践交流会に加え、「@教科部会の再編成&事例集の活用」、「A活用型学習とICT活用の検証ワークシートの活用」が新たに実施されました。 橋波小学校では、毎年ICT活用の事例集が作られており、昨年度末で3冊となりました。事例が蓄積してきた今、「@教科部会の再編成&事例集の活用」はグッドアイディアだといえます。自分の得意とする教科では、いろいろとICT活用のアイディアが浮かびます。しかし、3年間も続けていると新しいアイディアはそうそう出なくなってくるのではないでしょうか。今回、教科部会が再編成され、これまで担当したことのない教科を担当することになると、また新たなアイディアが浮かぶかもしれません。一方で、不得意教科であればまったくアイディアが浮かばないこともあるかもしれません。しかし研究部から過去の事例集から「似たような授業を真似て実践することも良い。また一部変えてアレンジするのも良い」と言ってもらえれば、安心して参考にできるでしょう。橋波小学校は、特別研究指定校になってからは2年目ですが、それ以前からもICT活用の研究を行っています。得意な教科での「新メニュー」をさがす時期から、溜まった資産を活用して得意ではない教科でも活用できる「定番メニュー」にしていく時期に来たのでしょう。 また特別研究指定校としては2年目に入り、そろそろ効果検証をどうするのかが気になってきます。しかし、本校が研究テーマとしている、活用型学習については、直接的な効果検証は大変難しいものです。しかし、効果を検証する以前に、本当に活用型学習としてICTが活用されたのか、まず授業そのものを検証する必要があります。そこで活用されたのが、「A活用型学習とICT活用の検証ワークシート」です。コラボノートを使って、授業スタイルは活用型だったのか、ICTを活用したのは誰で、何のために活用したのかなどの観点から授業を振り返り、活用型授業であったかどうかを検証しているそうです。こうした取り組みは非常に大事なことだと言えます。ぜひとも今後も継続していただきたいと思います。なお、橋波小学校で使われている「活用型学習」には2つの「活用」が含まれていると考えます。ICTを「活用」することと、児童が習得した知識や技能を「活用」することです。両者を兼ね備えた実践は非常に難しいことなので、活用場面は別々であっても構わないと考えます。たとえば、習得した知識を活用して思考する時間を十分取るために、ICTを効果的に活用して説明時間の短縮を図る、などです。間接的でも構わないので、ICT活用が活用型学習とどのような関係かを示すことのできるワークシートになっていくと効果検証方法を考える際の参考にもなるでしょう。 研究授業をするとなると、とかく新しいことをしなければ!と思うあまり、奇抜ではあるけれど、本質からずれてしまう授業を実施してしまうことがあります。それよりは、過去の実践のまねでもかまわないので、本質的な授業をするほうが子どもたちのためになります。橋波小学校のように、学内で蓄積のある場合は、まずは校内で互いに参考にしあう。蓄積のない学校であれば、橋波小学校など先進的に実践を積み重ねている他校の事例を参考に授業をしていくとよいでしょう。なお、他実践を参考にした場合は、開発者への敬意をこめて、また情報モラルの観点から、参考元を明記しておきましょう。 |