解説と講評 |
コメント:兵庫教育大学 准教授 永田智子先生 |
本年度から橋波小学校では実践授業が活用型授業かどうか、ICT活用が効果的に使われていたかどうか「活用型学習とICT活用の検証ワークシート」を使った検証をはじめました。1学期に実践報告された授業をこのワークシートで検証したところ、多くの授業が活用型で、ICTも本質的な使われ方であったことが明らかになったそうです。 また10月に児童向けに行なわれたアンケート結果を、1年前のものと比較すると、「ICTを使いたい」とただやみくもにICTを活用することを希望する児童が減り、「クラス全体でICTを使うとみんなに考えが広がりやすい」といった効果的な活用法を認識できている児童が増えました。これはICTを効果的に活用した活用型の授業が日常的に実践されてきた成果ではないかと思われます。 そして11月30日(金)橋波小学校では、公開授業研究会が開催され、5つのクラスが授業を公開しました。デジカメを使ってストップモーションアニメーションづくりを行う1年生(図工)。オペレッタの練習で、自分たちの姿をデジカメで撮影し、タブレットPCで確認する4年生(総合)。コラボノートで作った防災リーフレットに、付箋機能を使って修正意見を出し合う5年生(総合)。ふりこの実験結果をコラボノートに記録し、比較しながら考察を共有する5年生(理科)。英語劇の様子をビデオ撮りし、改善点を話し合いながらシンキングツールに書き込みをする6年生(外国語)。どの授業でも橋波小学校が研究課題の副題として掲げた「電子黒板やタブレットPCなどを用いた活用型学習」が実現されていました。 橋波小学校では、年度末にはICT活用の事例集作成、夏には近隣の小学校と合同夏季研修会(1学期の実践報告と2学期の授業プランニング)、秋には公開授業に向けた事前検討会、公開授業研究会と実践報告のポスターセッション、と着実に研究と実践を積み重ねおられます。通常は実践したら終わりですが、冒頭でも述べたとおり、橋波小学校ではやってきた授業が活用型授業であるのか、ICTが効果的・本質的に使われているのかの検証まで行っています。この検証は、結果よりもむしろプロセスが大切だと思います。検証のプロセスを通じて「ICTを活用した活用型学習とはなにか」を全教員が理解することができるからです。その理解が次の授業づくりに生きるのです。実際、検証を始める前は、活用型学習なのだろうか?と疑問に思った授業もありましたが、現在はそのように感じることがなくなりました。ICTを活用した授業をするだけでも大変ですし、検証作業はさらに面倒なことかもしれませんが、とても大事な作業だと思います。これは他校でもぜひ参考にしていただきたい点です。 橋波小学校の研究期間も残すところあと少しとなりました。実践についてはもはや文句のつけどころがありません。今後の課題は研究成果をいかにまとめるかです。これまでの実践のなかで成果の上がったものはもちろん、成果の上がらなかったものもふくめて、まとめていただくと、自校だけでなく他校の実践の参考になることでしょう。 |