解説と講評 |
コメント:兵庫教育大学 准教授 永田智子先生 |
平成24年度最後の研究授業が1月31日に行われました。タブレットPCが導入されていない2年生が,グループ1台のタブレットPCを使って絵画鑑賞をするという授業でした.パズル状に切断されたピカソの絵をグループのメンバーで協力して完成させたり,ゲルニカの絵を見て気づいたところに印をつけ,学級全体に向けて意見を発表したりといった学習活動が繰り広げられました.これは橋波小学校が目指した,児童がICTを活用して思考したり表現したりする学習そのものでした. 2年前,橋波小学校は「多様な教科・領域における活用型学力の育成〜電子黒板やタブレットPCなどを用いた活用型学習の実践事例の創造〜」というテーマを掲げて研究をはじめました.2年経ち,先にも述べたようにICTを活用した活用型学習が,一人のスーパー教師だけではなく,全校レベルで行われるようになりました. しかし,ここに至るまでの道のりは平たんなものとは言えませんでした.教員がICTを使ってわかりやすい授業を実現するところまでは比較的取り組みやすいのですが,子どもたちにICTを活用させ,かつ,それが習得型学習ではなく活用型学習になるようするというのは,それを1部の教員だけでなく全教員が実現するということは,思った以上にハードルが高いのです. 研究テーマに迫るために,橋波小学校では様々な工夫を行ってきました.研究部を中心に事前研をしっかり行うこと,校内研究授業での討議会では教員自身がタブレットPCを使って成果と課題を話し合うこと,ワークシートを使ってICT活用が効果的であったか検証すること,児童へアンケートを実施してICT活用効果を検証すること,定期的に全教科・領域での実践報告会を行うこと,年度末には実践事例集を作成すること,など多様で地道な活動が積み重ねられたのです. こういった工夫は他校が見習うべきことではありますが,一度に全部導入することはおすすめできません.学校の実情に応じたところから,少しずつ加えていくのです.そうしなければ,初めて取り組む教員にとっては,負荷がかかりすぎてしまいます.橋波小学校では,研究部が中心になって,次に何ができそうかを考え加減しながら進めてきました.こうした努力が功を奏し,今や全国トップレベルのICT活用校になったのです. 次年度以降,橋波小学校は人事異動によりメンバーが変わります.これまで積み上げてきた橋波小メソッドともいえる工夫を是非とも継承するとともに,新たな風も取り入れてさらに発展していただきたいと思います.また橋波小学校を巣立つ先生方は,橋波メソッドを,新しい学校にも広げていっていただきたいと思います. |