解説と講評 |
コメント:和歌山大学 准教授 豊田充崇 先生 |
■ はじめに 北六甲台小学校は、西宮市の北部、中国自動車道にほど近い住宅地内の高台にあり、見晴らしのいい校舎からは、山々の緑の中に建物が点在するといった風景が目に留まります。 ■ すばやい!「ICT活用」の浸透 「ICT活用初心者且つ校内で一番の年長者が見本をみせる」といった"スローガン"を掲げた授業研から始まった「デジタル教科書」の活用ですが、既に「まずは使ってみる」という段階は全員クリアーしており、共通認識や相互の教え合いが自然形成されてきているように思います。 ■ ICT活用をきっかけとした「授業改善」へ また、一学期を通してデジタル教科書を活用することで、従来のアナログの良さつまり掲示物や板書の重要性に気づき、発問の重要性も再認識できているようにも感じました。この点、「ICTを活用するための研究」ではなく、『ICT活用をきっかけとした授業改善・学力向上を目指した取り組み』であることが浸透されているといえます。 ■ 学校教育目標へのアプローチ 少し話は逸れますが、学校教育目標の一番目に「聴く」を掲げているのも特徴的だと感じました。これはとても日本人の気質に合致した目標ではないかと思うのです。とかく"主張が弱い"と言われがちな国民性ではありますが、それを否定的に捉えず、まずはきちんと「他人の考え方を聴き、受け止める」そしてそれから自分の思いを伝える段階に向かうという考え方には非常に共感できました。 ■ 今後の展開について 現在、デジタル教科書活用の学習効果をどのように検証するのか、ICT活用授業の評価をどう示すかといった点が課題として出されています。客観的な学習効果の測定は教育界の大きな課題ではありますが、ICT活用における指導者側の実感や児童の個別エピソード等をできるだけ多く拾い上げ、長期的な検証を進めていきたいと思います。 以上、まだ初回の報告ですので、総括的な文章は抜きにしておきますが、2学期はできるだけ校内に足を運び、先生方のイノベーションを捉えてみたいと思います。 |