解説と講評 |
コメント:和歌山大学 准教授 豊田充崇 先生 |
6月22日の公開研究会は、悪天候の中でも350名超もの参加者を迎えて大盛況のうちに終わりました。おそらくICT活用研究を題した会で、19教室もの授業公開数は、2012年度の日本記録!?ではないかと思います。また、2本立ての分科会設定、基調講演(元文部科学大臣 遠山敦子氏)、パネルディスカッションに加えて体育館にてポスターセッション形式発表をおこなうというチャレンジングな取り組みを6月の時点で達成できたことも驚きです。「多忙化解消、負担・リスク軽減」へ向かう風潮の中、当研究会の設定自体に勢いがあり、参加者を圧倒したことは間違いありません。 研究会全体の概観を振り返ってみますが、各教員に共通しているのは「学びを深める」ために「適切な手段」を用いているということです。よって、場合によっては、デジタルの利点を前面に、あるいはアナログのよさや利便性を前面に、必要なら「その両者の融合」をというのが、自然に「こなれている」といえます。北六甲台小学校には「デジタルを選ぶ」という「選択肢」があり、「デジタルの利点を把握した上で使う・使わない・組み合わせる」という判断ができる環境整備と各教員にその判断ができる経験が積まれてきたといえます。 ICTは手段ですので、それが目的化することはありません。手段を用いることを学習の目的に据えてはいけないは確かです。しかしながら、使ってみて効果的な場面を実感することも必要ですし、使わないほうがいい場面を見極めることも重要です。さらには、他者がおこなっている効果的な活用方法を自分ならどうするかを考える場面も必要かと思います。1年間、こういうことを繰り返してきた結果、ICTの使い方を検討するというよりは、この手段・ツールをどのように使えば従来と比較して学習効果を向上できるかといった視点が強くなっていったと感じています。 さて、研究会を終えての課題の面ですが、これは、もう1つ上の大きな研究目標である「きく」という部分、そのための「聞き合い」やきかせるための伝える工夫、きいて欲しいという意欲の向上といった点にあります。この点の課題はハッキリとしました。 |