解説と講評 |
コメント:宮崎大学 教授 新地辰朗 先生 |
学校関係者にとって,「教育の情報化」は,最近,耳慣れてきた表現の一つだと思います。この「教育の情報化」を目指す上で,ポイントとなるのが,教育の質を高めようとする組織的な取組です。11月18日(金)の研究公開では,山下小学校の先生方はもちろんのこと,鹿児島市教育委員会,鹿児島県教育委員会の先生方が,連携し合いながら協議を深める場面が印象的でした。授業のねらいを達成する方法,主体的に学ばせる工夫など,“教え”“学び”の充実の観点から,ICT活用を評価するためには,教科指導などの専門家の参画が不可欠です。山下小学校でICT活用の先進的実践研究が展開される意義をあらためて感じました。 11月18日(金)の研究公開では,ICTを活用した「思考の練磨」について,半年間,検討されてきた結果が,授業の中で披露されました。DSを利用した社会科「自動車をつくる工業」では,準備されたワークシートが,うまく機能していたように思えます。確かに,DSからの児童それぞれの入力が,教師用のコンピュータに表示され,電子黒板を通して共有・比較できる“しかけ”には,これまでの授業では実現し得なかった魅力を感じます。この授業は,テクノロジー活用への挑戦に留まることなく,これまでに培われてきた指導方法とテクノロジー活用とを融合させた点が高く評価できます。ICTとワークシートとを併用した指導により,教室全体での学びを受けとめさせながら,自分の考え(分析・意見)の変化をワークシート上に記録・表現させることで,授業のねらいを達成させていました。 漠然と「ICT活用で,“教え”“学び”の何が変わるのか?」と考えるのではなく,「ICT活用と教師による力量・工夫との組み合わせにより,どのような学びを創り出すことができるのか?」と考える契機となる提案が複数見られた研究公開であったと振り返ります。 |