解説と講評 |
コメント:宮崎大学 教授 新地辰朗 先生 |
2年目の中盤となるこの期間で,ICT活用により“可視化された思考”を,授業展開に生かす段階に前進されたように感じています。この段階では,“教師が期待する思考”と“予想される児童の思考”をふまえた,授業構想力及び授業実践力が高いレベルで求められます。鹿児島県総合教育センターや鹿児島市教育委員会と連携した質の高い授業研究の積み重ねにより,教師の専門的力量としてのICT活用に到達していると思われます。 特別研究指定校に求められる研究成果の普及という点では,11月9日の研究公開の際に,1年間の研究結果を集約した「自ら考え判断し,表現できる子どもを育てる学習指導の開発U(全180ページ)」とあわせて配付された「ICT活用実践事例集(全60ページ)」が高く評価できます。この事例集では,思考の段階性や思考活動の内容をわかりやすく整理した上で,思考の練磨を目的としたICT活用が教科・領域ごとに説明されており,山下小学校の取組が他の学校の教師のヒントとなるよう工夫されています。 今後,思考練磨のプロセスのICT活用による表出・記録により,授業がどのように改善され,また児童が変容したのかを振り返ることができるなら,さらに実りある研究となるように思えます。評価軸を「教師の専門的力量」や「学力(21世紀型学力,情報活用能力を含む)」とすることで,学校教育の質の向上に資するICT活用の実践例が見えてくると期待しています。 今年の元旦,初日の出の直前。山下小学校の子どもたち,保護者のみなさん,そして先生方が日ごろから登っておられる城山の頂上で,偶然・ばったり,山下紀弘校長先生とお会いできました。山下小学校とのありがたいご縁を感じた次第です。研究指定期間は終盤に入りますが,山下小学校の先生方,子どもたちと,充実した時間を楽しみたいと考えています。 |