研究主題「生徒の学習意欲を引き出す『学習評価システム』の構築と授業改善」とは,学習者と教員が学習の目標を共有し,教員から目標に向けて管理されるのではなく,学習者自身が自分の学習をモニタリングし,足りないところ,十分なところは何かを把握しながら自律的に学ぶ,そのような支援システムと,授業を求めて いこうということである。2年次に入り,研究を@学習評価システム(ブラッシュアップノートや評価シート等),A学習支援システム(ブラッシュアップタイムやフェニックスタイム,ガイダンス等),そしてB授業 改善(ねらいの明確化と活動評価等)の要素として捉え,それぞれに主として推進する担当を置くとともに,スパイラルアップしていくように研究が進みつつある。4月から7月までの飛鳥の研究から学べることを,外部(指導主事訪問など)の意見や,アンケートなどから列記してみたい。
・研究が日常的に行われている
これは,指導主事訪問の研修のまとめの最初に記されていた一文であるが,これは大変なことだと思う。 単元評価だけとってもしんどいことなのである。学習評価,学習支援を行いつつ,一人複数回の研究授業を,淡々と,むしろ楽しげに行う先生方に敬意を表する。また,そういう「苦しいけど,意味あることを,楽しくやろうよ」という雰囲気が醸成されていないと苦しい。一つの秘訣は,目標を掲げながらも方法は各先生の持ち味や発想を活かしているところかも知れない。例えば学習マップの項目は,先生方によっていろいろ違うが,それぞれにお一人お一人の「提案」や「トライアル」があるのだ。一つ一つ伺うと,目を開かれる思いである。教師とは,創造的な職業なのだ,ということを再認識させていただいた。
・付けたい力が明確になっている。
1年次からもっとも難しい,と思っていたのはこの点である。飛鳥の研究では,どのような力を育てたいのか?
私は,教科固有の力と,教科を超えて通じる力があると考えている。教科固有の力はそれぞれにあっていいと思うが,教科を超えて通じる力とは,学習者自身が自分の学習をモニタリングし,自律的に学習する力である。
こうした力は,一回の授業でできるものではなく,学習評価システムと学習支援システムと相まって身につくような力であり,明示化したり,数値化したりすることは難しく,本質的に重要な能力なのである。秋に行われる研究会では,授業研究も行われるが,もちろんこれで決定版というような最終形をお見せすることは考えていないだろう。今,飛鳥中として考える付けたい力を提案し,ご批判を頂きつつ,次のステップを目指す授業で更に学べるものと期待している。
・子どもはもっと伸びたいと願っている
これは7月にとった全員からのアンケートの自由記述からである。「子どもはもっと伸びたい」のである。そのために,先生方の取り組みに感謝しつつも,「学習マップはこう改善してほしい」「評価シートで評価が分かるだけでなく,どうすればステップアップできるのか,教えてほしい」「発展的な内容ももっとどんどん教えてほしい」「プライベートティーチャーをもっとお願いしやすい方法を工夫してほしい」と思っている。とにかく,建設的な意見ばかりが寄せられた,と理解できる。これは,先生方が研究に真剣に取り組み,子どももそれに応えている証左であろう。優先順位をつけつつ,取り組めるとよいと思う。