解説と講評 |
コメント:関西大学 教授 黒上晴夫 先生 |
高等学校における全組織的取組みへの期待 乙訓高校で目を惹くのは,まず高等学校での実践研究である点である。高等学校で全組織的に授業研究を行うことは,かなり難しい状況の中,公開授業,研究発表会を含めて,年間10回の実践研究の機会が予定されている。それを支える設備として,全普通教室にプロジェクタとスクリーンおよびLANが設置されている。 ICT活用頻度上昇の要因 すべての教員を対象とした研修による授業でのICT活用頻度の上昇については,他校でなかなか成果が出ないだけに環境との関わりでとらえたい。やはり,全普通教室でいつでもプロジェクタが利用できる状況を作っていることが効を奏していると考えられる。また,一方で高等学校の授業形態もそれを助長しているかもしれない。高等学校の授業では,教師が予定したとおりに資料を示して,準備された解説を順次行っていくことが中心になりがちである。問題を解かせる場合も,順次問題を提示し,生徒に解かせてから解説をするような形式が定着している。したがって,提示する資料を準備しやすく,また一度準備したら複数の学級で利用することになる。このことは,ICT利用という点からはプラスに働くが,授業の形態としては,特に小・中学校とは大きくちがうところだと言える。しかし,中学校においては一部そのような授業が必要な場面もあり,そこではこの成果は参考になる可能性がある。 |