アドバイザーコメント |
横浜国立大学 教授 野中 陽一 先生 |
![]() |
■ ICT機器の常設によってICT活用の日常化を実現 カリキュラム開発の前に, ICT活用の日常化を実現するためにすべての教室に実物投影機を常設した.短期間で全員が活用できるように研修し,お互いの実践を交流し,使ってみる段階から,一気に教科の目標を達成するための効果的な活用を意識する段階へと進んだ.教師が実物投影機やデジタル教科書等を活用して,指示,説明を行うだけでなく,児童がノートやワークシートなどを提示して発表する場面を増やしていくことが期待される. ■ 学習指導要領を踏まえた実施可能な情報教育カリキュラム 今回の学習指導要領において,ICT活用及び情報教育の充実が図られていることは言うまでもないが,普段の授業でICTを日常的に活用し,小学校6年間を通して,情報活用能力を高めていくカリキュラムを具体化し,継続して実践することはなかなか難しい.特に教科横断的に取り組むべきであるとされる○○教育は,情報以外にも様々なものが,どれも重要だと指摘されており,そのすべてについて取り組むことは困難な状況にある.今回,平小学校が目指しているのは,どこの学校でも実施可能な,いわば,教科の授業だけでも情報活用能力を育成することができる現実的なカリキュラムを開発することである.教科の目標や内容が,情報活用能力の育成に直結する要素を含むものを抽出し,それらを関連づけて6年間継続して指導できるようにするのである.教科書をベースに情報活用能力の育成に直結する単元,学習内容,学習活動を拾い上げ,それらの関連を明確にして実践するだけなので,カリキュラムの『開発』とは言えないかもしれない.各教科の学習内容からボトムアップで積み上げるので,育成できるのは『情報活用能力』の一部かもしれない.しかし,現行の学習指導要領の枠組みの中で,すべての教師が情報活用能力という軸を意識して教科の授業を進めること,どの学校でも無理なく実施できるカリキュラムの土台を提案すること,に挑戦してみようという試みなのである. |
![]() |