現行の学習指導要領,教科書をベースとしつつ,情報活用能力の育成に視点を当てたカリキュラムを開発するという課題そのものについての共通理解を図ることが最も難しかったと思います。授業研究会を積み重ねながら,情報教育を理解し,情報活用の実践力について下位項目の整理を行い,重点単元を抽出するといった一連の活動によって,現実的なカリキュラムの枠組みが見えてきました。
教育の情報化ビジョンでは,「第二章 情報活用能力の育成」の中に,以下のような記述があります。
具体的には、例えば、新学習指導要領において、各教科等の目標や内容に情報活用能力の育成が含まれている部分や、あるいは深く関連している部分を学年ごとに抽出して整理し、情報活用能力を育成する視点で扱いの例を示す
数単元を抽出して情報活用能力を育成しやすい指導場面と指導手順、指導のポイントなどに関する指導事例を明示した教員向け指導資料を作成する
まさにこれらに取り組んだと言えるでしょう。
開発した単元の指導計画を,実践を通して修正し,指導のポイントを明確にしていくこと,6年間を通して系統的な指導を持続できるような広い意味でのカリキュラムを定着させていくことが今後の課題です。
試しに取り組んでみることで,教師の意識が変わり,授業研究で振り返ることによって,共通理解が深まり,指導方法、学習活動が変わる。これらを積み上げ,見直すことによって,カリキュラムが変わり,子どもたちが変わっていくのでしょう。
子どもたちの情報活用能力については,川崎市総合教育センターが開発中の「児童の情報活用能力チェックリスト」を活用して,変容を明らかにすることになっています。能力の育成には時間がかかりますが,毎年,少しずつでも高めていくことが望まれます。
12月の中間報告会まで,ずっと駆け足で研究を進めてこられた平小学校の先生方,一丸となってのラストスパートも見事でした。今後は,息切れしないように,子どもたちの能力の向上を見取りながら情報活用に関わる学習活動を積み重ね,さらに授業や日々の学習活動に工夫を加えることによって,ノウハウがいっぱい詰まったカリキュラムの完成を目指して欲しいと思います。