アドバイザーコメント |
玉川大学 教授 堀田 龍也 先生 |
本校の研究は,「メディアの特性を理解し,適切な方法を見極めながら課題解決を進める力の育成」という研究主題でもわかるように,情報化の進んだこれからの時代を生き抜くことになる児童に対して行う情報活用能力の育成に関する研究である。また,副題にあるように,情報活用の実践力に着目し,これを本校および進学する中学校,近隣の小学校との連携によって小中一貫カリキュラムとして完成させようという研究である。 この分野の研究は,実は極めて困難であることが知られている。情報活用の実践力は,日々の授業の中で広く行われている必要な情報の把握,比較,選択した情報の発信などの学習活動によって身に付くものであるから,日々の授業すべて,教科等のすべてが研究対象であるということになり,研究の焦点がわかりにくくなる。しかも情報活用の実践力の充実は確かに課題解決に役立つことになるが,課題解決を行う力そのものすべてが情報活用の実践力ということでもなく,では何をもって区別するかという点も不明瞭である。 本校の教員は,管理職以下みなさんが前向きで,研究に真剣に取り組んでいこうという気持ちが十分に感じられた。しかしながら上記のような課題の幅広さが,どの部分を重点に研究していけばよいかという点で,やや迷子のような状況にあった。授業研究が6月に行われたが,当日の4年生に対する新聞の読解の指導に関する授業の質の高さが,校内研究のテーマのどの部分にどのように寄与するのかという点でまだ混乱が見られた。 夏休みにかけての本校は,これらの課題に正対し,管理職を中心に,窓口教科を絞り,研究の重点を議論した。今後も授業研究はあくまで各教科等の授業として行うこととなるため,各教科等の授業の成立が第一であることには間違いないが,本校の研究主題は当該教科等に留まらない能力の育成を期したものであることを確認しながら,今後の研究を進めていただきたいところである。 |