実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第39回特別研究指定校(活動期間:平成25~26年)

福岡教育大学附属久留米小学校/平成26年度8~12月

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

公開研究会の計画
公開研究会の計画

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

■課題

情報編集力を育てる教育課程の創造
~情報科を要とした各教科等の学習の在り方の工夫を通して~

■目的

次の3つの在り方を究明する。

  • (1)各教科等の特質に応じた学習過程。
  • (2)協働的に学び合う活動や言語活動の効果的な位置付け。
  • (3)ICT機器の活用。
  • (4)情報モラルの向上を図る指導の充実。

■具体的な取り組み

  • (1)情報編集力を働かせて各教科等の内容をしっかりと捉えることができるようにするために,各教科等の特質に応じた「つくる,あつめる,つくりあげる活動」を位置付けた学習過程を明らかにする。
  • (2)「つくる,あつめる,つくりあげる活動」を機能させるために,各教科等の特質に応じた協働的に学び合う活動や言語活動の在り方を明らかにする。
  • (3)各教科等の特質に応じたICTの活用の在り方を明らかにする。
  • →特に,2学期にはICTを子どもが主体的に活用できるように,学び方を日頃から積み上げるとともに,処理機能を中心に各教科等の特質に応じた活用方法の在り方を,ICTの種類と活用の仕方の2つから明らかにする。

  • (4)情報モラルの向上を図るため,指導計画に沿って指導を行い,実践事例として記録をとっていく。

■成果目標

  • (1)(2)に関して,学習過程や活動の在り方を教科等ごとに,パターン化する。
  • (3)に関して,ICTを用いる頻度や質(主体性)を高める。
  • (4)に関して,指導計画に沿った指導を積み上げる。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

8月

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ1

(1)(2)《若い教師のための『教育実践セミナー』の開催》

  • 若い教師を対象に,各教科等の特質に応じた授業づくりの基礎に関する研修会を開催した。
  • 各教科等の特質に応じた授業づくりを,内容分析→教材化→単元(題材)構成→学習指導過程→具体的な活動→教師の支援の手順で確認することができた。
  • 特に,各教科等の特質に応じた基本的な学習過程や学習活動を確認することができた。

(3)《情報教育の研修会の開催》

  • ソフト(ジャストスマイルクラスの使用方法の説明会を開催した。
  • 新たに導入予定のソフト一覧を説明してもらったり,実際に操作方法について実演したりしてもらうことで,これまでのソフト(ジャストスマイル)との違いを明らかにすることができ,これからの活用方法の幅が広がった。

(4)《情報科研修会》

  • 2学期の情報モラルの授業の進め方について,学年の教師が確認・相談する研修会を開催した。
  • 学年で組織的・日常的に情報モラルの学習を進めることができるようになってきた。

9月

(1)(2)《各教科等の構想に基づく授業分析》

  • 各教科等の部の研究構想に基づき,授業実践を行った。
  • 教師間で互いの授業を参観し,構想で目指す子どもの姿に対する手立て(サブテーマ)の有効性を判断した。
  • 本学の大学の先生にも参観して頂き,意見を頂くようにして,研究を深めていった。
  • 各教科等で目指す子どもの姿は,各教科等で本質的に育てる子どもである。

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ2

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ2

  • 右のような記録用紙を授業者が作成し,手立ての有効性を検証することができるようにした。
  • 記録用紙を作成する際には,授業仮説を立て,仮説に基づいて手立て(サブ)の有効性が判断できるような記録用紙にした。
  • 授業中,抽出児を3名決め,抽出児を中心に記録をとる担当教諭を決めて検証授業を行った。
  • 各教科等の特質に応じ,目指す子どもの姿やそのための手立てを構想し,構想に基づいた授業を実践することで,実践面から研究の有効性を判断することができるようにしていった。

(3)《各教科等の特質に応じた
ICTの活用》

  • 外国語活動では,「つくる活動」において自分の英語表現を本時でつくりだした後に,友達の表現を「あつめる活動」を位置付けた。ここでは,「自信がない」や「伝わる表現にしたい」といった目的意識で友達の表現を収集した。その際に用いたのがタブレットPCである。動画を記録する機能をいかして,友達の表現を撮影して情報を集めるのである。収集した友達の英語表現を見ていた子どもたちは,「○○さん上手」や「次はこれ言ってみようかな」といった自分の英語表現に取り入れてみたい思いを口にしていた様子が見られた。その後,友達の表現のよさを自分の表現に付加・修正する「つくりあげる活動」を位置付けた。
  • 以上のように「つくる活動」「あつめる活動」「つくりあげる活動」を位置付け,ICTを効果的に位置付けることで情報編集力を働かせてよりよい表現の面白さに気付かせることができた。

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ2

(3)《情報モラルに関する
授業の日常的な積み上げ》

  • 情報モラルに関する指導は右の表にあるような指導計画に沿って実践を進めていった。その際,学年の先生で事前にねらいや教材を打ち合わせした上で授業できるように,週に1回情報科に関する研修会を1時間程度設定した。

10月

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ2

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ2

(1)(2)(3)《訪問指導》

  • 本年度2回目のパナソニック教育財団の訪問指導をしていただいた。
  • 本校教諭の特徴教科でICT機器を活用した授業を構想し,公開授業した。
  • 各教科等の特質に応じたICT機器の活用を授業の中に位置付けた公開授業であった。
  • 右の表のような学習指導過程と育てたい情報編集力を明らかにして訪問指導の授業にのぞんだ。
  • 発達段階,学習の内容に応じたICT機器の活用が多く見られた。
  • 訪問指導をもとに課題も明らかになり,今後の方向性も明らかになった。

(4)《情報モラルの日常的な実践の積み重ね》

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ2

  • 情報モラルの実践は右の表のような学習過程を意識しながら授業実践を積み重ねていった。
  • 一度身に付けた判断基準をもう一度試すことで行動化できるようにした。

◆アドバイザー(宮崎大学 新地辰朗先生)の助言

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ2

  • 「情報編集力」の概念規定の明確化。
  • 課題と取り組みの整合性。
  • 評価の在り方の検討の必要性。

以上3点が指導頂いた概略である。特に研究課題である「情報編集力」における評価の基準が曖昧であり,これまでの「情報活用能力」が評価基準になっている。本校の研究課題に応じた評価基準を明確にした上で,実践→評価を進めて研究のまとめを行うこととする。

11月

(3)《児童用タブレット43台の導入》

  • これまでの40台のタブレットPCに加え,更に43台のタブレットPCの導入が決まった。動作環境の設定を大学と連携して実施し,ネットワークに接続できるようにした。
  • 新たに導入したタブレットPCに子どもたちを慣れさせるために各クラス学び合いの機能を活用した授業を行った。

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ2

(4)
《情報モラルの実践の積み重ね》

  • これまでと同様に指導計画に沿って実践を積み重ねていった。
  • 教材の提示を2つの場面で行うことで,子どもたちの行動への方向性を身に付けることができるようにした。

12月

(1)(2)《研究発表会に向けての指導案づくり》

  • ICTの活用の仕方を明記した構想に基づいた授業づくりを行った。
  • ICT機器を取り入れる際に配慮したことは,効果的に内容を捉えさせる目的で活用することとこれまでの用いてきたアナログのツールと組み合わせることとした。特に,思考ツールの活用は積極的に位置付けた。

(3)《新しい機器やソフトの活用方法の検討》

福岡教育大学附属久留米小学校活動報告イメージ2

  • 新しいソフトに2つの動画を同時に再生機能が備わっている。体育科の授業において,模範の動きと自分の動きを並べて再生することで,「自分の動きの修正点が見えてくるのではないか。」という仮説を持って普段の授業で活用していった。
  • 電子黒板(2台)や画像転送装置(ぼうけんくん)の導入によって機器の使用の仕方に関する研修会を行ったり,日常的な授業の中で活用したり,研究発表会で活用したりすることができるようにした。
  • 特に,画像転送装置(ぼうけんくん)に関しては,図画工作科や理科の学習への活用が期待できる。子どもたちの作品や実験の様子を教師が撮影したり,子どもが紹介する際に提示させたりする活用が考えられる。画像転送装置(ぼうけんくん)の機能を十分にいかした活用を考えて,研究発表会にのぞむこととする。

(4)《情報モラルに関する指導》

  • 研究発表会の指導案作成にあたって,内容・教材・指導過程・具体的な教師の支援の在り方を見直して,情報モラルの授業づくりを行った。
  • 今後,具体的な手立てを更に明らかにすることで,研究発表会の授業後の分科会で情報科の価値を主張できるようにする。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 
  • 2年目の取り組みであったが,大学の学術情報課との連携がスムーズに行えるようになった。これまでの互いの関わりの成果でもあるものの,やはり一人では,一方だけでは進めることができない事業であることを実感することができた。
  • 新たなICTの導入を検討することができたことである。予算の捻出や新たなICT導入に向けた検討会が校長・副校長を中心に推進して頂けるようになった。

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成果

 
  • 情報編集力(選択する力,組み合わせる力)を育てることを目指す研究であることが確認することができた。
  • 各教科等の特質に応じた「つくる活動」「あつめる活動」「つくりあげる活動」の在り方が少しずつ明らかになってきた。
  • ICT機器がこれまで以上に揃ってきた。
  • 情報モラルに関する指導の積み上げが図られてきている。

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今後の課題

 

●情報編集力と4つの具体的な取り組みの関連を明らかにする。

●ICT機器がこれまで以上に揃ってきた分,活用方法を明らかにした上で効果的な活用を今後模索していく。

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公開研究会の計画

 

○研究発表会

平成27年2月9日(月),10日(火)

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アドバイザーコメント

宮崎大学大学院 教育学研究科 教授 新地 辰朗 先生

 

情報編集力を育てる教育課程の創造
~情報科を要とした各教科等の学習の在り方の工夫を通して~

本校では,「情報編集力」を,"多くの情報の中から自分にとって必要な情報を選んで取り出し,情報の価値を判断し,一つ一つの情報を組み合わせて,創造的な価値ある情報につくり上げて,問題解決に活用したり,他者に発信したりしていこうとする態度のことである。"と定義しています。この「情報編集力」を働かせる活動として,情報を;"つくる"・"あつめる"・"つくりあげる"活動,に着目しています。

教科等の特質に配慮しながら,情報教育に取り組む際にポイントになるのが,教師間の共通理解となります。本校では,①(課題解決活動における)課題や目的に応じた情報手段の適切な活用, ②(自分の考えの構築における)必要な情報の主体的な収集・判断・表現・処理・創造, ③(交流をとおしての新たな考えの構築における)受け手の状況などを踏まえた発信・伝達,といった学習活動を想定しながら,"各教科等で目指す子どもの姿"を,具体的に整理したり,指導案に"情報編集力に関わる評価"の欄を設けたりするなど,全職員で,「情報編集力」を高め,働かせる活動のデザインに向きあう,意欲的な創意工夫がみられます。このような案出は,研究開発学校としての「情報科」に関わる研究を背景にしている表れとも思われますが,今後,全国の学校で,児童生徒の情報活用能力の向上に取り組む上で,多いに参考になるものと期待しています。さらに,抽出した児童の学習の様子や変容から,授業を検証するなど,2年間の研究成果の質を高める意欲も感じています。

情報に関わる児童のスキル(=学力)の向上にフォーカスした教育課程の創造(あり方)について,これからの3か月,いっしょに考えてゆきたいと思います。

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