実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第39回特別研究指定校(活動期間:平成25~26年)

奈良県立奈良養護学校/平成26年度4~7月

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

公開研究会の計画
公開研究会の計画

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

「個々の発達課題に対応する教材データベースの構築とネットワーク化」
サブ課題「インクルーシブ教育システムと学校のセンター的機能を踏まえて」

昨年度の活動を通して、教材データベースとネットワーク化の基盤となるサイトを立ち上げることができました。それを多くの人が利用し、役立つものにしていくために、どのように充実させていくのかが本年度の課題です。そのための基本的取り組みとして、次の3点があげられます。

1.教材データベースについて

  • 本年度課題「教材データベースの充実と活用システムを構築する。」 
    個々の課題を探っていくためのシステムと教材データベースを結びつけていくことで、確かな学びへつながる授業作りに取り組んでいきます。このプロセスについて、公開研究発表会等にて報告します。

2.ICT教材について

  • 本年度課題「ICT機器やデジタル教材を確かな学びを育む授業に生かしていく。」
    すべての学部でICTを活用した授業とデジタル教材を活用した授業について検討し、公開研究発表会にて公開します。その際、参加者との授業検討会も実施します。

3.地域支援ネットワークについて

  • 本年度課題「実用的な地域支援ネットワークシステムを構築する。」
    現在の教材共有ネットワークに、1,2の成果と下記のような情報を加えていくことでサイトの充実を図っていきます。

・教材の検索システムの充実(発達水準、課題項目、目的などから検索できる)
・様々な教材開発とデータベース化、他校との協力により教材数500をめざす。
・身体のケア方法や便利グッズ、レクリエーション情報などを掲載する。
・地域の研究協力校との取り組みを専門的役立ち情報として掲載する。

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

1.「教材データベースの充実と活用システムを構築する」

  • 5月末までに新しい教材20点を教材共有ネットワーク(以下TMSN)に追加。
  • 5月アセスメントチェックリストの書式を大幅に改訂し、必要に応じてさらに細かなチェックができるようにした。
  • 6月アセスメントチェックリストを元にした個別課題に関する個票を全員について作成、具体的指導内容を考えていく際の手がかりとして活用する。
  • アセスメントチェックリスト、個票の書き方、指導案の書き方、略案の書き方について、それぞれに解説文と記入例を作成し、スムーズに作業できるようにした。
  • 6月から2月の公開研究発表会へ向けての授業検討を開始する。
  • 7月23日アドバイザーの堀田先生より、デジタル教材の開発に際して、大学や高校との効果的連携についてアドバイスを受ける。2学期より取り組みを始めることとなる。

2.「ICT機器やデジタル教材を確かな学びを育む授業にどのように活かしていくか」

  • 4月18日特別支援教育総合研究所より金森克浩氏来校。特別支援教育におけるICTの活用というテーマにて職員研修を実施。また、本年度の研究について意見交換を行いTMSNについては、共同研究していくこととなった。
  • 5月15日、本年度の研究の進め方についての職員研修を行い、学校全体としては「確かな学びを育む授業づくり」をテーマとし、そこに各学部でICT機器やデジタル教材を活用した授業を含めていくことを確認。確かな学びにつなげるため、アセスメントチェックリストや課題設定のための個票の作成、研究授業への展開について検討を行う。
  • 7月23日アドバイザーの堀田先生より、パワーポイントの便利な機能や使い方、iPadのアプリケーションについて紹介していただき、全体研修の企画を行った。

3.「実用的な地域支援ネットワークシステムを構築する」

  • 5月、研究協力校や協力施設を訪問し、具体的取り組みについての打ち合わせを行う。
  • 5月28日、学苑社からの教材集の発行依頼を受けて、出版に向けた検討会を実施。
  • 5月30日、実践障害児教育(学研)への掲載原稿の提出。
  • 5月20日全国肢体不自由教育研究協議会大会に発表原稿を提出。(ポスター発表3)
  • 6月12~17日研究協力校や協力施設を訪問、対象児(者)に対する支援の検討。
  • 7月14日、学苑社からの担当者を交えて、出版についての打ち合わせを行う。
  • 7月23日アドバイザーの堀田先生より、書籍の発行について書き方やまとめ方についてアドバイスを受ける。推薦文の依頼を行う。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 
  • 昨年度は、日本肢体不自由児協会が発行する「はげみ」やジアース教育新社の「授業力向上シリースNo1」に今回の取り組みが紹介されたが、本年度も「実践障害児教育8月号」に掲載され、自分たちの取り組みの広がりを感じうれしかった。
  • 奈良県立奈良養護学校活動報告イメージ1

  • 学苑社という出版社から連絡があり、教材集を書籍として発行することになった。単なる書籍とせず、TMSNのサイトとつなぎ、互いに補う形でまとめることとなった。来年8月末の発行をめざして原稿をまとめていく。
  • 学校の卒業生が通う施設に訪問する中で、施設での活動や生活がわかるようになった。身体の状態が厳しくなっている卒業生も多かったが、小さなボールを使った簡単なトレーニングを実施するだけでとても喜んでいただけた。継続して取り入れていただくことになり、今回の取り組みを実施することができてよかったと感じた。どこへ訪問してもとても喜んでいただき、がんばっていこうと励まされた。
  • 奈良県立奈良養護学校活動報告イメージ2

  • 畿央大学との共同研究で進めてきたデジタル教材を使って、研究のモデル児童が苦手であった上位概念での分類ができるようになった。
  • 奈良県立奈良養護学校活動報告イメージ3

  • 夏の地域支援研修会の募集をしたところ、予想以上の参加者が集まり会場を変更することとなった。
  • 学苑社からの要望で、教材教具集の発行がきまり、今回の取り組みを本の形で紹介できるようになった。

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成果

 

1.「教材データベースの充実と活用システムを構築する」について

  • 学校全体で「確かな学びを育む授業作り」についての研究体制が整い、それぞれの学部で授業研究がはじまった。
  • アセスメントチェックリストの見直し、個別課題をまとめるための個票の作成、学習指導案の形式の見直し、授業検討で使う略案の見直しをするとともに、それぞれに作成マニュアルや記入例の作成ができた。

2.「ICT機器やデジタル教材を確かな学びを育む授業に生かしていく」について

  • 学校全体で「確かな学びを育む授業作り」についての研究体制が整い、それぞれの学部でICT機器やデジタル教材を活用した授業研究がはじまった。

3.「実用的な地域支援ネットワークシステムを構築する」について

  • 学校での研究成果を地域の中にも生かしていくために、地域の小学校や就学前施設、卒業後の施設などとの共同研究が具体的にはじまり、これからの課題や可能性について確認することができた。
  • 特別支援教育の充実に向けて地域に働きかけていくためのイベント(地域支援研修会)の準備が整った。また、総勢180名となる多くの参加者を集めることができた。

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今後の課題

 
たくさんの課題がありますが、特に次のような課題について重点的に取り組んでいきます。

○データ内容の充実のために。

4月~7月の期間、研究の流れを作ることに追われ、データベースの充実という点での取り組みがあまりなされなかった。実際に研究が動き出したこともあり、8月以降はデータベースの充実に向けて取り組みを進めたい。

○広くサイトを紹介していくために。

TMSN公開当初は、順調に会員数が増えていったが、最近は増加率が減少してきている。内容の充実と広報を広く展開していくことで、多くの利用者を募っていきたい。

○たくさんの人に投稿してもらうために。

サイトの開設から半年になるが、他校や一般からの投稿が少ない。積極的に投稿を呼びかけていくとともに、投稿システムのわかりやすさ、使いやすさの検討も進める。

○他の特別支援学校との連携のために。

他の特別支援学校にも積極的に出かけ、職員研修などで使い方についての説明を続けていきたい。8月と9月で5校を訪問する予定になっている。

○実用的地域支援ネットワークとするために。

単に教材を紹介するだけでなく、どのように使っていくのかについても実例を交えながら紹介していきたい。

○公開研究発表会にたくさん参加していただくために。

公開研究発表会に向けて研究を推進するとともに、特殊教育学会や全国肢体不自由教育研究会などでも発表を行い、研究の紹介と発表会への参加を呼びかけていく。

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公開研究会の計画

 
  • 日 時  平成27年2月7日(土)
    午前9時30分から午後4時30分まで(受付開始:午前9時)
  • 会 場   奈良県立奈良養護学校
    〒630-8051 奈良市七条町135番地
  • 内 容
    〇開 会 式 09:30~09:50
    〇公開授業 10:00~10:40 「全学部全授業公開」
    〇研究報告 11:00~12:00 「データベースでつなぐ地域ネットワーク」
    〇講 演   13:00~13:50 講演:「特別支援教育におけるICTの活用」
     国立特別支援教育総合研究所総括研究員 金森 克浩氏
    〇検 討 会 14:00~15:20 分科会(授業検討及び研究報告)
    〇全体総括 15:40~16:30 堀田 博史氏(園田学園女子大学人間健康学部教授)
     金森 克浩氏(国立特別支援教育総合研究所)

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アドバイザーコメント

園田学園女子大学 教授 堀田 博史 先生

 

本期間(4~7月)は,アセスメントチェックリストの見直しが行われ,個に応じた指導内容を思考する上での重要度がさらに増しました。また,今まで蓄積された研究成果を関連学会での発表,雑誌への掲載など,広報活動も積極的に行われています。平成27年2月の公開研究会では,さらにバージョンアップした成果の披露を期待しています。

研究成果の中心である 教材共有ネットワークシステムが立ち上がり,6ヶ月が経過しました。当初は,アクセス数やユーザ登録数も増加傾向でしたが,現在は横ばい状態になっています。特に,奈良養護学校以外からの教材作成が少ないことが課題です。地域の特別支援学校や高等学校,大学と連携して,授業の一環に教材づくりを位置づけてもらえるような働きかけが必要です。

残りの研究期間でさらに,奈良養護学校の教員が確かな学びに生かせるデジタル教材づくりを積極的に行うとともに,それらを実装した教材データベース,ネットワークシステムを利活用できる地域との関係づくりの強化に繋げてください。

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