・大阪府立東百舌鳥高等学校 /平成27年度8-12月期 |
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研究課題と成果目標 |
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[研究課題] ICTを活用したアクティブラーニングの実践と評価 [成果目標]
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本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応 |
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[取り組み内容] 8月から12月にかけては、一人一台のiPadの貸与や、LMSを活用したe-Portfolio作成に特に力を注いできました。また、本校40周年記念事業として全普通教室に単焦点型電子黒板機能付きプロジェクターを設置しました. ①一人一台のiPad貸与 9月の購入から、セキュリティなどの設定を行い、10月に一人一台の貸与を開始しました。現在は「マルチメディア」の受講生16名に貸し出しをしており、授業での活用を行っております。授業中の生徒の活用としては、発表のための資料作成に活用することはもちろん、ディスカッションの中でクラスメイトに説明をするための根拠を示したり、あらかじめ家で準備してきた資料を用いてディスカッションを進めたりしているグループも見られました。生徒は、それぞれの活用方法を模索している段階です。 ②Moodle,Maharaによるe-Portofolioの作成 LMSであるMoodleとMaharaを用いて、生徒の学習履歴を残していくe-Portfolioの取り組みを進めています。生徒は授業が終わるとMoodle上に設置されたディスカッションボードに「今日の授業で自分が何を学んだか」を書き込みます。Moodle上で授業内容に関する振り返りを受講生同士が共有し、次回の授業では、授業担当者がその振り返りの内容を用いて授業の導入を行います。Moodleのディスカッションボードに記載した振り返りの内容は、Maharaと同期することができるため、各回の学習事項はMahara上に蓄積されていきます。これまで紙ベースで行ってきた作業をWeb上で行うことにより、生徒は文字だけでない、マルチメディアを用いた振り返りが行えるようになりました。また、学習内容に対する教員からのフィードバックがMoodleを通じて容易に行えるようになりました。 ③単焦点型電子黒板機能付きプロジェクターの導入 夏休み中に全普通教室に単焦点型電子黒板機能つきプロジェクターを設置し、9月の2学期開始から活用をすすめています。現在、75%の教員が授業で活用するなど、教員のICT活用率が格段に上がりました。また、プロジェクターを導入することにより、従来口頭で説明していたものを図で表示したり、板書を書かずに投影したりすることで、5分から10分ほどの余剰時間を確保することができるようになりました。この時間を活用して、協働学習や、教えあいの学習を取り入れる教員も見られるようになりました。 ④Total Plan委員会によるALのモデルケース冊子作成 この特別研究指定校事業を推進しているTotal Plan委員会において、委員の教員がALの実践を持ち寄り、その実践を東百舌鳥高校のALモデルケースとして冊子にまとめました。今後は、この冊子を校内研修などで配布しながら、各教員がALを取り入れた授業について考えるきっかけとしたいと考えています。 アドバイザーの助言と助言への対応 アドバイザーの助言は以下のとおりです 助言から、課題を3点に絞りました。 ①協働学習を基盤としたALの普及 これまでActive Learning(AL)の定義を「教員が目標を明確にした上でその達成のために、生徒が主体となり考える練習をする時間をつくること」として、校内での取り組みをすすめてきましたが、助言を受け、ALを「教員が目標を明確にした上でその達成のために、生徒が自ら考え、考えた内容をまとめて仲間に伝える時間をつくること」として再定義しました。今後の研修では、教員のICT活用により捻出できた余剰時間を活用して、どのように各教科でALを実施するかを議論し、学校全体でALのモデルケースを作っていく予定です。 ② LMSによる学習内容の可視化(ハード面) まず、「先生へのiPadの貸与」です.生徒が利用するe-Portfolioについて、多様な使い方ができるため、コアメンバーとなる先生にiPadを貸し出し、活用場面や方法などのアイディアを集めていきます。 ③ LMSによる学習内容の可視化(ソフト面) 次に、「観点別評価を記載したシラバスの導入」です。「何ができるようになるか」を意識しながら、国立教育政策研究所の示す観点別評価を参考にしながら、シラバスを作成し、授業づくりを行っていく予定です。これにより各教科・科目の目標の明確化が行えると考えます。目標を明確化することで、学習の結果、「できないことができるようになった」という《Outcome》を教員・生徒が実感できる授業への変革が可能になると考えます。 | ||||
裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など) |
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iPadキッティングの際の留意点
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成果 |
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今後の課題 |
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1. 協働学習を基盤としたALの普及 |
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今後の計画 |
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今後の公開授業・公開研究会 |
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アドバイザーコメント |
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日本福祉大学 国際福祉開発学部 教授 影戸 誠 先生 |
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アクティブラーニング成功の5つの条件 -「ICTを活用したアクティブラーニングの実践と評価」に参加して- 授業も見せていただき、企画立案推進を担当する同校の「トータル・プラン委員会」のみなさんと論議を進めてきました。勝田先生を中心に熱心に研究をされ、私たちの智見を共有し、これまで実践方向を探してきました。 その中から 半年の実践の中で、見えてきたものを「成功の条件」にまとめてみたいと思います。 成功の5つの条件
1.環境があること 空き教室を利用してActive Learning Roomを作った。単焦点のプロジェクタもあるし、ワークシートの配布もネットワークを介してできる。集中して授業して授業に取り組むことができる。機器操作のわずらわしさ(学習ノイズ)が大きく減るデザインとなっている。 座ったとき友達の表情が目の前にある。学習のマインドセットを変え、「意欲的なスタート」となる。 2.生徒に問いがあること 問いは探求を支える。「なぜ、どうして」の問いが仲間との話し合いで深められている。しかし、その輪に入れない生徒が時にいる。全員が入ることのできる「教師の発問」「作業の準備」が条件の一つとなる。教科により、単元により異なるが、ファシリテーターとしての教師の力量が問われる。 3.話し合いがあること 協働学習の場面で、グループの「論議の成果」を出していく。その過程で個々の生徒の情報発信が確保され、積極的なかかわりが保証される。情報発信には多くの力量が必要となる。話す順番、聞き手の分析など。しかし、回を重ねていくことでパターン化していく。レポートとして、結晶化していく。 4.アウトカムがあること 発話し、それが比較の中でもまれ「新しい形の智」ワンランク上の知識になっていく。一緒に学べてよかったという気持ちとなる。 同校では、Moodleや、Maharaを使っている。生徒のデジタル教材を、感想や、まとめ それぞれにフレーズに分けて格納できるシステムである。日付や内容に応じて、瞬時に取り出すことができる。数か月前の自分の作品と今日の作品の比較が容易にでき、(育つ自分を確認できる)、まさに学びがEnjoyできる。 5.振り返る教員集団 この学校には「トータル・プラン委員会」があり、アクティブラーニングのデザインと実践を行っている。集団で考え実践するところに最もこの学校にマッチした授業案や、インタラクションの形、協働学習の形態が出てくる。教員自体が振り返り、評価していくその体制が実践を大きく支える。先生自体が「アクティブラーニング」の学習者である。 ・先生方と話し合いで使ったいくつかの表 |
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