実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

活動情報/第34回特別研究指定校活動情報/第34回特別研究指定校

上越市立城北小学校の活動報告/平成20年度1〜3月
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セールスポイント

道徳、特活、総合の統合カリキュラムでは・・・

  • 1年生統合カリキュラム「新入生への学校説明会プロジェクト」(1〜2月)
    • 当校1年生が、新年度に入学してくる小学校6年生への歓迎メッセージのカードを作成し、それを手渡す。
    • 新入生187名とその保護者を当校に招き、当校1年生が主体となって様々な工夫を凝らしながら学校紹介を行う。クラスごとに寸劇やクイズ、ショーなどを考え、中学校の制服や部活動のユニホーム、生徒会活動や中学校生活の様子などを披露。

地域交流活動カリキュラムでは・・・

  • 地域との交流活動として「ひな祭り料理教室」や「新入生保護者のための給食試食会」等を実施。また、理科の授業では酒造りの杜氏を招いて「発酵」の授業を実施した。
 

実践経過

道徳、特活、総合の統合カリキュラム

    写真1
  • 1年生統合カリキュラム「新入生への学校説明会プロジェクト」
    • 道徳:「愛校心」をテーマに授業を実施。その後、生徒が中学校の自慢できる点、よいところなどをテーマにしてデジタルカメラで様々な場面を撮影。それを基にして学校紹介カードを作成し、歓迎の気持ちを一言添えた。そして、生徒が学区の小学校に出向き、6年生に歓迎メッセージの掲示物を手渡す場を設けた。
    • 特活:「新入生への学校説明会」でどんな内容を紹介するか、分担はどうするかなど話合いを行う。練習後には互いの様子を評価し合い、改善点などの意見交換を行った。
    • 総合:「学校行事紹介」「小中交流のLECT」「制服部活動ユニホーム紹介」「城北の名物紹介」のプロジェクトに分かれ小道具の作成や準備、練習を行った。学校説明会当日の早押しクイズでは、コンピュータのディスプレイを活用し、見て分かりやすく楽しめる工夫を行った。

地域交流活動カリキュラム

    写真2
  • 地域との協働による「ひな祭り料理教室」や「新入生の保護者のための給食試食会」には生徒も積極的に参加。給食にかかわるクイズでは、ハテナボックスを作って、答えを面白く効果的に示す工夫を行い好評だった。
  • 理科の授業では酒造りの杜氏を招いて「発酵」の授業を実施。顕微鏡で見える酵母をプロジェクターを活用してスクリーンに映し、その動きを観察するなど、ICT機器を効果的に活用することができた。
 

成果と課題

道徳、特活、総合の統合カリキュラムでは・・・(○成果 ●課題)

  統合カリキュラムの編成と実施は、当初各学年一つずつの予定であったが、地域・保護者の支援により1学年の「新入生への学校説明会プロジェクト」においても実施することができた。
  キャリア教育の4つの能力領域の発達について、一実践によって生徒のどの能力がどの程度身についてきているか、意図的な活動、授業の方法等によってどう変容してきたか、評価様式を用意して各取組の様々な資料を蓄積しながら今後も追っていきたい。

地域交流活動カリキュラムでは・・・(○成果 ●課題)

  顕微鏡の画像を大きく映し出し、酵母菌の動きを全員で共有しながらの理科の授業では、情報が分かりやすく伝わる、コミュニケーションが活性化するなどのメディアのよさを実感することができた。
  今後も生徒が地域住民や保護者と協働し、ふれあうことができるイベントを積極的に取り入れて、キャリア発達の土台作りを行っていきたい。
 
 

裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

  • わかりやすい授業、コミュニケーションの活性化、学習への理解を深めることなどを目指し、積極的に研修してICTを効果的に活用しようとする職員が増加した。また、生徒も自ら機器を接続して発表に向けて練習をする姿が伺えた。
  • 1月下旬に千葉県柏市立高柳中学校の校長先生や地域の皆さん8名を当校にお招きし、交流会を行った。地域と学校の連携・協働について、先進地域の様々な活動のお話を伺うことができ、大変有意義であった。
  • 20年11月に地域との協働活動「男結び講習会」(校庭の植栽を雪から守る冬囲いの講習会)を開催したところ、「男結びの技を身に付けよう」「学校のためなら力になりたい」と、地域のボランティア30名ほどが集まった。大変な作業も無事終了。しかし、1〜2月の大雪の時期であっても今年は雪がほとんど降らず、縄で縛られたままの木々が北風にさらされるだけであった。3月中旬になり、もう雪は降らないだろうと囲いをはずしたら、雪がモコモコと30cm積もってしまった。
 

1年間(20年度)の実践を終えての感想

 「道徳、特活、総合の統合カリキュラム」は、職員間でこれまで何気なく話し合って進めてきたことを本格的にカリキュラムとして位置付ける、という発想で始めた。しかし、いざ話合いを行おうとしても、放課後の部活動の手を抜くわけにはいかず、会議の時間を確保することが困難であった。
 「地域交流活動カリキュラム」は、地域住民である地域コーディネーターをはじめ、地域のボランティア、保護者の支援のお陰で、様々な取組を行うことができた。しかし、そこに生徒を参加させ、ふれあいの場を確保しようとしても、定期テストや塾、部活動等で生徒は忙しく、時間的なゆとりがもてないことが多かった。困難なことばかりの状況だったが、それらを克服しながら、20年度は予定した内容よりも多くの取組にチャレンジすることができたことがよかった点である。各学年主任を中心とする学年部会では、その都度生徒のキャリア発達の状況について意見交換し、次の手立てを考え実践化するサイクルが定着し、職員の意識の向上も図られたことも収穫である。
 いずれのカリキュラムにおいてもICT機器を活用することで、理解を深めたり感動を共有したりする場面が見られるようになるなど、有効に活用する方途を見いだしつつある。今後も計画、実践、評価、改善のサイクルの中で、生徒のキャリア発達のスパイラルな高まりを期待しているところである。

次年度(21年度)への思い(課題・目標など)

 21年度は研究指定2年目の発表の年である。これまで取り組んできた2つのカリキュラムを並行して進めてきた成果やキャリア教育の4つの能力領域がどういう取組によって培われてきたかなどを参会者に伝えたい。そして、ICTを活用することのよさ、生徒のキャリア発達に及ぼした影響なども報告したい。
 また、教師サイドでは、これまで考えてきたカリキュラムを、ICTを活用することで視覚的に見えるようにわかりやすく示したい。カリキュラムの各領域の関連が見えることで、総合的な学習の時数減への対応、他の教科の関連できる内容について考え、実質的な学習機会を増やすことも可能と考える。学生等のボランティア活用により、指導に当たる人員を増やして一人当たりの学習密度を増やす取組なども発想できるのではないか。
 発表に向けて、資料の蓄積、様々な授業の準備、実践等を更に積み上げていきたい。

解説と講評

コメント:白鴎大学 教授 赤堀侃司先生

1. 人間力育成、特にキャリア教育とメディア活用の関連は、未知と言ってもよい。その意味で、本研究は、大きな意味がある。
2. 今回の報告は、メディア活用との関連が明確にされており、高く評価できる。
できれば、ICTメディアが、他のメディアと比較して、この点で有効であった、この点は、まだ不足であるなどの考察していただければ、より優れた報告になる。
3. キャリア教育の4つの能力育成の関連を、最後にマトリクス(関連表)にして、評価していただければ、幸いである。活動と能力との関連が、明確になると、研究がわかりやすくなる。研究計画には、そのマトリクスがあったと思うが、実施した結果についても、同様に示していただければ、幸いである。
4. 最後に、活動そのものは、他校にとってモデルになると思われるので、計画、実施、評価などの手順を、最後の報告に記載していただければ、すばらしい。
 
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