実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24~25年)

川崎市立平小学校の活動報告/平成23年度1月~3月
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実践経過
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成果と課題
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成果と課題
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● 情報活用の実践力を育成するためのカリキュラムづくりが大きく進展!

実践経過

 

4月


● 新しい仲間を加えて2年目の研究をスタート!
(第1回校内研究全体会)

 特別研究指定をいただいて2回目をむかえたこの春,約4分の1のスタッフが新しい仲間となりました。昨年度の実践をふりかえりながら,今年度の方針について共通理解を図りました。

〔平成25年度の研究〕

○支援体制について
  ・パナソニック教育財団 第38回特別研究指定校
  ・川崎市教育委員会 授業力向上 研究協力校

○助言してくれる先生方
  ・横浜国立大学         野中教授
  ・川崎市教育委員会       指導主事
  ・川崎市総合教育センター    指導主事
  ・川崎市立小学校情報教育研究会 常任委員

○授業研究の方針
  ・国語科を中心に生活科・総合的な学習の時間における重点単元を扱う
  ・平小のスキル「くみたてる」をメインに授業づくりを行う
  ・子どもたちがICTをつかって活動する場面を積極的に取り入れていく
  ・1回の授業研究会で取り組む授業の本数を増やす

○いつも意識していくこと
  ・「みやすい・わかりやすい・つかいやすいカリキュラム」をつくる

   
 

 全体会後,ICT校内研修会を行いました。昨年4月に行ったのと同じ内容です。自分の実践をふまえて研修をリードする教員,新しい環境にワクワクしながら熱心に取り組む教員,それぞれの立場で積極的に取り組むことができました。
 4月1日からこのような形で研究をスタートできたことがとても嬉しいです。

今年度の新体制づくり(第2回校内研究全体会)
   第1回の校内研究全体会で確認された以下のことに基づいて,各学年の役割分担や授業研究会の日程等を調整しました。今年度は毎回の授業研究会で,低・中・高のか各学年から1本ずつおこないます。これによって,学年間の系統性を意識しながらの授業研究をし易くなります。効率的に協議を進められるような教師のグルーピングや協議方法を工夫するために,昨年度から引き続きワークショップ的な手法を積極的に取り入れていこうと考えています。
   
教育長に平小の研究をアピール!
   財団事務局の皆さんと一緒に,川崎市教育委員会の教育長に平小学校の研究をアピールしてきました。
 「めざせ! みんながつかえるカリキュラムづくり」というスローガンのもと,「現行の学習指導要領の枠組みの中で,すべての教師が情報活用能力という軸を意識して教科の授業を進めること,どの学校でも無理なく実施できるカリキュラムの土台を提案すること」に取り組んでいることについてお話する中で,研究の概要・子ども達の実態・育てたい力・1年目の成果・今後の研究スケジュール・授業力向上との関連・ICT活用の効果など,具体的に説明しました。また,研究活動が日常的な取り組みによる授業改善と密接につながり,その成果が市内113校の小学校に広まっていくイメージを伝えることができました。
 「応援していますので,頑張ってください!」と心強い言葉をもらうことができました。

5月

● 2年目最初の授業研!(第1回校内授業研究会)
 今年度は昨年度作成した「情報活用の実践力を育成する重点単元一覧」の中で,特に国語科の重点単元の「くみたてる」場面に焦点をあてて授業研究を行なっていきます。

2年 国語「かんさつ名人になろう」
(知らせたいことなどが相手に伝わるように書く活動。)

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3年 国語「よい聞き手になろう」(質問をしたり感想を言ったりする活動。)

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5年 国語「きいて、きいて、きいてみよう」(インタビューをする活動。)※2クラスで実施

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 研究協議会は,低・中・高それぞれの部会に分かれ,各授業会場で行いました。カリキュラムの内容を洗練していくために,以下の3つの視点を軸に話し合いました。
①平小のスキルについて
②情報手段の活用について
③場の設定・活動単位・話形・流れ等のてだてについて

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Xチャートを使って意見の分類・整理を行い,挙がった課題についての解決策を考えるワークショップとなりました。

●平小にもiPad miniがやってきた!
 昨年度2月に行われた授業研究会で「あつめる」ときの情報手段としてデジタルカメラを使いました。静止画や動画のデジタルメモを話し合いの資料として活用しようとした際に,グループで共有するには画面が狭い,音声が聞きとりにくい,といった課題が確認されました。そこで,液晶画面が広く音声が聞きとりやすい,情報を共有しやすいデジタルカメラを探したところ,iPad miniが最も有力な選択肢となりました。助成金のおかげで購入できた12台。まずは6年生を中心に使い始めることになりました。

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6月

●授業力向上の取り組み(第2回校内授業研究会)
 私たちは普段から,単元の計画・準備・実践を行い,授業を公開し,研究協議を行い,その成果を次へ生かす,といった流れを スパイラルにおこなっています。学校全体で授業や研究を前向きにすすめていくということそのものが,授業力向上の取り組みだと考えています。平小のスキルを育成する,という目標に対して,指導計画や教師の姿,子どもたちの姿,さまざまなてだて,内容の系統性といったことが適切だったか協議を行いました。

2年生活「レッツゴー!たいら たんけんたい」 
~たいらのすてきを見つけよう~
(自分の知りたいことに合わせて情報を集める活動。)

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4年国語 調べたことを報告する文章を書こう「読書生活について考えよう」
(知りたいことについて必要な事柄を工夫して調べ,調べる方法,調べた結果,結果から考えたことを明確にして報告書を構成する活動。)

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6年国語 町のよさを伝えるパンフレットを作ろう
「ようこそ わたしたちの町へ」
(パンフレットを作るために,必要な情報を集め,効果的な構成や材料の配置,記述を考えて編集する活動。)

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 研究協議は,他校からの参加者にも平小の研究の経緯や趣旨について理解してもらうための説明を分科会場毎にDVDで視聴してもらい,共通理解をもって取り組めるようにしました。

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 第1回授業研究会でのワークショップが好評だったので,同じ形式で行いました。やり方に慣れると,内容が深まっていくのはおとなも子どもも一緒です。

   

7月

●平小のスキル」を育成するための授業づくりを考える
(第3回校内授業研究会)

 前回の授業研究会に引き続き,「平小のスキル」を育成するための授業づくり(育てたい力に対する指導計画や教師の姿,子どもたちの姿,てだて,内容の系統性)を検討するために授業研究会を行いました。

1年国語「こんないしをみつけたよ」
(目で見てわかること、手でさわってわかることを情報として集める活動。)

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4年国語 新聞のとくちょうと作り方を知ろう「新聞を作ろう」
(新聞の特徴と作り方を知り,記事にすることを決め,伝えたいことが明確になるように割り付けをした り見出しをつけたりする活動。)

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5年国語「次への一歩 活動報告書」
(事実と感想、意見などとを区別するとともに、目的や意図に応じて簡単に書いたり 詳しく書いたりして,意見を記述した文章や活動を報告した文章などを書いたり編集したりする活動。)

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研究協議会では,低・中・高学年の部会にわかれてのワークショップを行いました。今回の授業をヒントに,これまで授業研究会で取り組んできた単元のてだて(活用した情報手段や指導法など)を整理することに挑戦しました。

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●どのくらい伸びたかな!?(学校情報化チェック)

 この研究がスタートして間もない頃,昨年の4月に行った「学校情報化チェック」の2回目です。   
 財団のwebサイトから「学校情報化診断システム」に(ドキドキしながら)アクセスして一つ一つの項目に回答していった結果,全ての項目において向上が見られました。特に,情報教育の項では3倍以上の伸びが見られ,大きな励みとなりました。

●先生にも出します!夏休みの宿題(第3回校内研究全体会)

 夏季休業に入ってすぐ,校内研究全体会をもちました。翌月の8月に行われる財団の成果報告会に向けた共通理解も兼ねて,研究のテーマや目的,助成前の状況,これまでの取り組みと成果,研究成果の定着や普及のてだて,今後の展開,といったことについて確認しました。
 そして,「平小のスキル」の内容について,再検討をしてより良いものにしていくワークショップを行いました。この検討結果をもとに,国語科の中にある重点単元の指導計画を全て作成するのが,夏休みの宿題です。
 夏季休業明けに校内研究全体会を行い,作成した指導計画を持ち寄って学年間の系統性や書きぶりなど,内容の確認をする予定です。

 

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成果と課題

 

<成果>

●カリキュラムの全体像が見えてきた!?
 昨年度の成果である「めざす子ども像」「平小のスキル」「情報活用の実践力を育成する重点単元一覧表」がカリキュラムを構成する大きな要素となることは確かなことですが,重点単元の指導計画の形式が定まり,評価規準やてだての整理をしてまとめていくことも必要であることが具体的にイメージできるようになってきました。

●先生が使えば子どもも使う!
 ちょうど1年前,教師間で心がけて取り組んだICT活用。5月に購入したiPad miniの活用研修も兼ねて,職員打ち合わせの時間に同機を使ったショートスピーチに取り組んでいます。夕食のレシピや学生時代の思い出など,職員みんなで楽しみながらの研修は,いつでも笑顔が絶えません。その甲斐あってか,あっという間に使い方を覚えてどんどん進んでいく子どもたちに慌てることなく,しっかりと指導しながらiPad miniを使わせていくことができています。

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●今,ホワイトボードが熱い!
 今春,6年担任の発案により1学年全クラスの学習班が同時に使えるだけのホワイトボードを購入しました。話し合いの内容を「見える化」するためのてだてとして導入したところ,今では「先生,ホワイトボードを使って話し合ってもいいですか?」と子どもから言い出すほど有用なツールとして定着しだしました。授業公開でも使ったことをきっかけに,「うちの学年でも使いたい!」という声が次々にあがり,追加購入が決まりました。7月の校内研究全体会では,届いたばかりのホワイトボードを使ってワークショップを行いました。「やっぱりいいなぁ,夏休み明けから授業で使いたい!」とあらためて思いました。

●新しい風が吹いて…
 職員の4分の1が入れ替わったことはもちろん,第2回授業研究会で他校の先生からもたくさんの意見をもらうことができたことから,今までの私たちの視点とは違う視点からのみとりがあり,新たな発見につながったと思います。他校の先生方とともに協議することで,学ぶことが多くありました。

<課題>

●研究テーマを再確認!
  授業研究のふりかえりの中に次のような意見がありました。

「情報活用の実践力について考えていくことは研究の中心であることは
わかっていますが,基本的な授業づくりという部分も大切にしていきたい。
研究テーマにもある『豊かに伝えあう力を育む授業づくり』なので,
子どもたち同士が学び合う場をどう作っていくのかを考えていくことも
大切だと思った。」

まさにその通りなのです。そして,情報活用の実践力を育む授業づくりと基本的な授業づくりが別でなく,しっかりと重なるようにしていくことが課題だと考えています。

●わかりやすい・つかいやすいカリキュラムをつくるには?
 「研究活動から得られた知見を上手にまとめて,他校で生かせるように」と野中教授からアドバイスをいただきました。見やすくて使い易い重点単元一覧表,育てたい平小のスキルと指導内容の工夫がわかる指導案,評価と指導の一体化,など具体的にまとめていかなければならないことはたくさんあります。いただいたアドバイスをしっかり意識して次期の研究活動を進めていきたいと思います。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

●みんながレベルアップ!
 学校情報化チェックの結果,平小の学校情報化が全項目でレベルアップしていることがわかりましたが,様々な形で実感できるようにもなっています。
 「この単元は単に情報を集めるだけではなくて,課題に沿って選び報告文として構成することがたいせつだよね。『くみたてる』の単元なんだから…」「この前デジカメを使った『あつめる』の授業,理科の観察に生きてるね。デジカメで対象を撮影することで,みどころを焦点化する意識が生まれたみたい…」といった会話が職員室で日常的に交わされています。

●買った後は使い続けられるように…
 子どもたちからのリクエストも多く,職員みんなの賛同を得て購入したiPad mini。
しかし,使う前には画面保護シートや整理番号のシールを貼ったり,ケースを装着したり,初期設定をする必要がありました。個人で使うのとは違う,細かな配慮が必要なのはわかっていましたが,準備には相当な時間がかかりました。管理用のケースも普通に購入するとコストが高いので,ホームセンターと100円ショップで材料を手に入れてのDIYです。手間と時間をかけている間,授業で使うことを想像していると,思わず顔がニヤニヤ。ふと気づくと周りに同じ顔をした人が集まっていました。

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●困った時の……
 今期もたくさんのことに取り組み,成果を上げ,課題が明確になりました。研究の方向性を示唆してくださるのは,いつも野中教授をはじめ,川崎市総合教育センターや川崎市立小学校情報教育研究会の先生方と財団のスタッフの方々です。期待に添えるよう,次期も平小みんなで頑張りたいと思います。

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アドバイザーコメント

横浜国立大学 教授 野中 陽一 先生

 

 2 年目に入り,昨年度の実践をベースに,情報活用能力の育成のためのカリキュラムの体系を意識し,前後の学年における学習活動との違いや関連を明確にして授業が展開されるようになってきました.また,情報活用の流れを意識した単元のデザインが浸透し,特に研究授業の前段階の学習活動が充実していたように思います.これらは,授業研究に学年チームで取り組んできたことによって,「めざす子ども像」「平小のスキル」の意識化,共通理解が進んだからだと考えられます.
 授業レベルでは,学習活動や学習形態の多様化に加え,子どもたちが活用するメディアの多様化も進んでいます.特にグループで情報を「くみたてる」活動を行う場面では,大きめのホワイトボードが活躍しました.「あつめる」場面では,iPadの活用にも取り組み始めました.情報活用の場面に応じたメディアの活用が行われているのです.
 さらに,重点単元の実践を通して得られた知見を,他の教科等の学習活動にも活かすこと,教科等での学習では足りない部分を日常的な学習活動で補ったり,定着を図ったりすることも少しずつ行われ始めています.
 こうした取り組みによって,子どもたちの情報活用能力が高まり,学習活動の一層の充実につながるという良い循環を生み出すことにつながっていくのでしょう.
 今後は,研究のプロセスで得られた実践知をどのようにカリキュラムに表現し,普及させるか,という難しい課題に挑戦することになります.チームワークの良い平小学校の先生方と一緒に取り組んでいきたいと思います.

 

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