実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第38回特別研究指定校(活動期間:平成24〜25年)

福岡県立戸畑高等学校の活動報告/平成23年度8月〜12月
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実践経過
実践経過

成果と課題
成果と課題

成果と課題
裏話

アドバイザーコメント
必見!アドバイザー
コメント

セールスポイント

  1. 活用するデジタル教材(Material)を登録及び検索するためのデータベースソフト「MATE_NAVI」を学校独自で開発した。Microsoft Access2010のVBAを用いてプログラムを組み、ネットワーク上に登録された教材をストレスなしに検索することで、教材の共有化とICTの活用が飛躍的に進展する。
  2. 校内LAN環境を整備し、普及型ICT教材の開発・実践の活用事例の公開授業と研修会を北九州市近郊の高校の先生方を対象として開催し、18クラス中13クラスで同時にICTを用いた公開授業を実施した。

実践経過

  1. 教材データーベース「MATE_NAVI」の開発(8月上旬)
  2. 校内研修会の実施(8月22日)
    (1)ネットワーク利用上の注意
    (2)「MATE_NAVI」の利用方法
    ア 教材の登録方法

    1. 登録者を選択する。このとき左の並んだボタンでア行、カ行などの絞り込みができる。
    2. ファイル名のセルで右クリックし、【ハイパーリンク】−【ハイパーリンクの編集】すると【ハイパーリンクの挿入】画面が表示される。
    3. 検索先で教材ファイルを選択したり、ホームページやYoutubeを登録したりする。(予めホームページやYoutubeを閲覧しておき、ハイパーリンクの挿入画面の3でブラウズしたページを選び、登録するページを選ぶ。)
    4. 3.でファイルを選択した時点では、リンク先のファイル名は、ファイルやホームページのアドレスなので、ファイルの内容が分かるように表示文字列を変更する。

    イ 教材の検索方法

    1. 利用者欄から自分の名前を選択する。
    2. 教科名・ファイル種類・Keywordの3項目でAND検索ができる。検索しない項目についてはClearボタンで選択を解除する。
    3. 2.の項目で検索した教材が表示される。
    4. 1.の利用者が選択されたときに、表示される。この欄は利用者単位でチェックすることができる。すなわち、AさんとBさんではチェックをした教材は異なる。
    5. このボタンをクリックすると、利用者毎にチェックした教材が検索できる。

     (3)デジタル教材の作成方法
     A Power Pointによる教材作成方法
      テキストや画像の取り込み方

    1. テキストデータを取り込む場合は、データをコピーして、Power Pointのテキストボックスに張り付ける。
    2. Jpegデータの場合、Power   Pointで【挿入】−【図】からファイルを選択して取り込み、トリミングで切り取って形を調整する。
    3. PDFファイルの場合は、PowerPointから直接開くことができないので、XPSビュワーなどのソフトで開き(直接PDFファイルをダブルクリックすれば関連づけられたアプリケーションで開く)【Alt+Printscreet】で画面をコピーし、ペイントソフトを起動して張り付ける。ペイントソフトで必要な部分を切り取り、Power Pointに張り付ける。
    4. ペイントソフトはペイント系なので、切り取りは問題ないが、選択範囲を拡大や縮小をすると画像が粗くなるので使わないようにする。Power Pointがドロー系ソフトで計算式で画像を保存しているので拡大・縮小をしても問題はない。

      アニメーションの設定方法
    Power Pointにはアニメーション機能があるので、テキストや画像を選択して、【アニメーション】−【アニメーションの設定】で動きが付けられる。画像の一部を四角形で隠しておきクリックによって四角形を消す時には終了のアニメーションを設定する。このとき、アニメーションを設定した四角形をコピー&ペーストすると同じアクションが自動的に設定される。
     B dbookPROによる教材化の方法
    パワーポイントのプレゼンテーション機能、イラストレータの描画編集など多様な機能を有するデジタル教材作成ソフトdbookPROの校内ライセンスを購入した。

    dbookPROの特徴

    1. 教科書やプリントをスキャナーで読み込むだけで、短時間で電子書籍のように変換し、教科書業者が販売しているデジタル指導書のような教材が容易に作れる。
    2. マスクズームインをしてそこに何か描き込むと、全画面表示に戻すとアイコンが残ります。それをクリックすると先程の操作画面が表示されます。
    3. 消しゴムツールは一筆ずつ消せる。
    4. ドロー系作図描画機能を有しているので、拡大しても滑らかな曲線が実現できる。
    5. 取り込んだPDFファイルに、テキスト入力、Webリンク、IEウインドウの埋め込みが出来る。

  3. ICT公開授業及び研修会の実施(10月16日)
    (1)公開授業(5時限目13:30〜14:20)
    (2)研修会(14:30〜15:05)
    (3)指導主事及び大学の先生による指導助言
  4. 国内のICT教育活用好事例の収集・普及・促進に関する調査研究事業「研究発表会 福岡」(文部科学省主催)発表校として参加(11月6日)
  5. 校内ICT授業研究(12月11日)

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成果と課題

【成果】
10月16日に普及型ICT教材の活用実践例として公開授業(同時に14クラスで)と研修会を実施し、高校関係者約50名が参加し、地域の拠点校としての役割を果たした。
実施した学年・科目・記録写真と(A)デジタル教材を使用する目的、(B)使用ソフトと作成時間、(C)作成上の工夫を記載する。(D)授業を参観された先生方の感想

●1年・英語T

A 板書時間削減.視覚効果
B dbookPRO、20分
C 英文が見やすいように心がけた
D
○英文を板書する時間の節約になり、たくさん問題を解けると同時に、生徒もノートが取りやすいと感じた。
○括弧内に書き込みや、下線を引いて英文の把握がしやすい。
○単数や比較級など、その場での文章展開の説明が容易である。

●1年・体育

A 運動の動きをより分かりやすくする
B デジタルビデオ、2時間
C 柔道部の生徒を使って授業で一般生徒にも受身などの方法が分かるように撮影した。
D
○従来であれば、先生が演技しながら指導していました。しかし今日のような使い方であれば、説明と模範演技が別となり、安全性も高まると思いました。
○技の動作のポイントがストップモーションや繰り返しでわかりやすかった。

●1年・数学T

A 進度のペースアップ
B Studyaid、6時間
C 1年生が入試問題に触れる機会を設けた点
D
○問題文が黒板上にあることで、考えやすく、板書スペース、時間も削減できる。
○教材の作成とその見せ方に感心しました。ズームと電子ペンは参考になりました。

●1年・生物基礎

A 時間短縮.尿の生成を視覚的に捉えさせる
B dbookPRO、デジタル教科書、60分
C 教科書の図をdbookProに取り込んで加工した。
D
○生物では図や動き(本時ではろ過と再吸収)を理解しなければならない事が多い。ICTを利用し効果的にそれらを見せることで、分かり易く詳細な内容まで扱えると感じました。
○複雑な図も板書する手間が省け、そこに書き込め、また、前に戻ることも出来る。さらに、尿の生成を動画で見られて、一連の流れがとても見易かった。

●2年・数学U

A パラメータを含む直線の通過領域などは黒板では表現しにくいため。
B PowerPoint、30分
C 軌跡を視覚的に捉えさせるようにした。
D
○グラフの軌跡が一目で分かり、理解が深まり、応用力も身につく。
○grapesを十分に活用しているところに感動しました。問題のレベルが高い上、発問に対して、生徒が正しく答える点もレベルの高さを感じました。
○通過領域の問題でパソコンで動かすことで印象的に表現でき、すごいと思いました。

●2年・情報C

A 一斉に画面を使って実習内容の説明をするため。
B Excel、2時間
C 指示を全体に出来るようにする
パソコン画面に問題文とヒントが表示されるようにした
D
○問題文とヒントを表示させることが大変参考になりました。
○きちんと例示されて授業を進められていると感じました。
○PC画面に表示して指示する事で分かり易く、個人の作業に取りかかれる。

●2年・現代文

A 本文の展開を視覚的に把握させるため
B dbookPRO、1時間半
C 見やすい画面.授業の進度に対応
D
○教科書への書き込みがわかりやすく図示され、生徒が頭を整理し易い授業になっていたと思います。教科書に線を引かせるときは、口頭で指示をしても伝わらない場合が多いので、このような使い方もあるのだと改めて気づくことが出来ました。
○評論の論理構成を視覚的に見やすくする試みは非常に有効であると思います。

●2年・英語U

A 時間節約.音声活動.聴覚と視覚の利用
B PowerPoint、1時間半
C 簡潔かつ分かりやすく
D
○ホワイトボードにじかにペンで書いたり消したりしながら効果的に授業を展開している。
○英文を写し出すことで音読のときに生徒が前をきちんと向いて声を出すことが出来ていた。集中力も上がり、とてもいい効果があると思った。

●3年・日本史B

A 視覚的に捉え、理解を深めるため
B PowerPoint、1時間
C 興味を喚起できるようにする
D
○まず文化の全体像を把握したうえで、その文化の持つ背景を知り、各分野ごとにポイントを確かめながら進めていくこと。そして、現在と絡めて学ぶことで一層生徒が理解し易くなると知りました。

●3年・数学U

A 図がイメージしやすいように.板書時間の削減
B PowerPoint、30分
C グラフを見やすく、イメージしやすいように
D
○図形と方程式の分野では、グラフが視覚を最大限利用してみることができる。
○いろいろなパターンを見せることができ、理解が深まる。

●3年・物理U

A 複雑な図を板書する手間を省くため
B PowerPoint、30分
C 図をなるべく大きく見やすくした点
D
○黒板の一部をタッチすればペンで書ける!!凄いと思った。
○とても分かり易かったです。ICTを活用するとイラストが見易く考える力がつきそうだ。
○図の準備をしておき、写し出しているので、無駄に板書する手間が省け、授業のテンポが良かった。

●3年・英語U

A 説明する英文を写し出し、説明の際の時間を短縮するため
B PowerPoint、20分
C 黒板に投影しチョークでの書き込みを可能にする
D
○文章を板書する時間が省ける上に、ある程度の量の英文を一度に映せるので全体で顔を上げて黒板を見ながら理解していけるのでとてもわかり易いと思いました。機器がすぐに移動して利用できる点も準備時間の短縮になって良いと思いました。
○板書のプロジェクターはやっぱり必要だと感じました。

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

  • ワイヤレスマウスが動作しないと授業直前に連絡があり、対応したが、確かに電池やスイッチ、デバイスの応答は正常なのに全く反応がなかった。よくよく調べると、パソコン側のUSB受信機がはずされていた。その先生はこのUSB受信機はパソコンにゴミが入らないようにするための蓋と思っていたらしい。

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アドバイザーコメント

日本福祉大学 教授 影戸 誠 先生

■ ラーニング・ノイズ

 これまで4月から4回現地を訪問した。授業を見学しながら、この学校では確かにICT機器が「使われている」「使いながら、活用方法が洗練されてきている」と思った。いくつかの項目に分けてコメントしたい。

1 毎日の授業でみんなが使うということ

 前回の訪問時には、18クラスのうちほとんどのクラスで活用されていた。ICT活用の事例は一部の先進的な先生だけの活用に終わってしまい、なかなか普及しないということが指摘されてきたが、この学校は違う。ボトムアップの実践である。一人の実践の形が「手の届く」好事例となり、先生の相互の「交流」「情報交換」の中で、全体的なボトムアップが進んでいる。活用のためのファンダメンタルもしっかりしている。福岡県ではすべての教室にネットワーク、情報コンセントが整備されており、この「宝」を使いこなしている。

2 ICT活用の4つの要素

  • 先生の準備
    さまざまな教科の先生の作ったICT教材は共有サーバー(教材データベース)に置かれ教室から簡単に取り出すことができる。お互いの準備の時間を共有し、その知恵を「生徒の理解」へと展開している。これまで「共有」は台湾などでは見たことがあるが、ここまでスムーズに展開されている好例は少ない。職場環境の良さ、日頃のコミュニケーションの良さがあることがうかがえる。

  • 生徒の意識・集中度 ラーニング・ノイズ
    「何かが準備され」「投影される」そんな期待感が生徒にはあるようだ。同時にそれは何に集中すればよいかがより明確になる。「図を見なさい、3行目のここを・・」といったかつてに指示は、思考を中断させる「ノイズ」ともいえる。授業の流れを全体で共有し、ゴールまでに至るとき、ICT機器活用はそれらがスムーズに流れるようにサポートしている。
     英語の授業で、修飾節を
    ワン・クリックで隠し、
    シンプルな文章構成を理解させ、
    ワン・クリックでまた修飾句、就職節みせる。
    ノイズの無いこのような学習は、英語の読解には非常に効果的だと思った。この手法を他の先生が、隣のクラスで、瞬時のサーバーから教材を取り寄せ、同様に作業ができるところにこの学校の効果的な実践が感じられた。

  • 学習デザイン
    学習デザインを支えるものとして、3つある。黒板上のICT教材(グラフ、図、漢文、教科書のページ)、先生の説明、そして手元のワークシート。これら3つが実に効果的であった。
    課題を知る→→説明を聞き理解する→→、ICT教材と連携したワークシートで確認する。
    このリズムの中に、時には化学などの「ミニ実験」が入る。
    教室での学習の後、一人で取り組む復習ではこのワークシートと、教材が活用できる。その中で定着がなされる。

3 顔が上がるということ

 生徒の集中度が増し、全員の顔が上がる。よく言われることである。
 先生はその表情を読みつつ、時には熱く説明を加える。まさにフェース to フェースである。このインタラクションが授業を活性化させる。生き生きとさせる。先生も元気になる。わかったという表情、あれなんだろうという表情、質問、回答のキャッチボール、ICT教材の活用はこれらを活性化させる。今、そこに学習者がいて、それを支える教師がいるという、学びの場が成立している。
「よく気づいたね」「こんな方法もあるよね」
といったさりげない先生の言葉が、やはり生徒には大切であり、それを「ICT」の活用が貢献しているように、私には思えた。

最後に

 私はNHKなどの語学番組をよく見るが、年々、学習者負荷、ノイズ、定着という観点から改善が加えられ、数百万の視聴者の学習を支えている。以前は焦点を当てる、暗記に挑戦する例文が5つ程度だったが、20分の番組で次回に向けて精選し2つ程度にまで減っている。文法解説よりも「より多くの音」が提供され、聞く力を高め、発話の機会が自然に与えたれるようになっている。
 この学校のデザインも、手の届く課題、目標、集中力を高めるノイズのない提供、定着のためのデザインと訪問をするたびに前進していることが確認できている。

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