アドバイザーコメント |
日本福祉大学 教授 影戸 誠 先生 |
■ ラーニング・ノイズ これまで4月から4回現地を訪問した。授業を見学しながら、この学校では確かにICT機器が「使われている」「使いながら、活用方法が洗練されてきている」と思った。いくつかの項目に分けてコメントしたい。 1 毎日の授業でみんなが使うということ 前回の訪問時には、18クラスのうちほとんどのクラスで活用されていた。ICT活用の事例は一部の先進的な先生だけの活用に終わってしまい、なかなか普及しないということが指摘されてきたが、この学校は違う。ボトムアップの実践である。一人の実践の形が「手の届く」好事例となり、先生の相互の「交流」「情報交換」の中で、全体的なボトムアップが進んでいる。活用のためのファンダメンタルもしっかりしている。福岡県ではすべての教室にネットワーク、情報コンセントが整備されており、この「宝」を使いこなしている。 2 ICT活用の4つの要素
3 顔が上がるということ 生徒の集中度が増し、全員の顔が上がる。よく言われることである。先生はその表情を読みつつ、時には熱く説明を加える。まさにフェース to フェースである。このインタラクションが授業を活性化させる。生き生きとさせる。先生も元気になる。わかったという表情、あれなんだろうという表情、質問、回答のキャッチボール、ICT教材の活用はこれらを活性化させる。今、そこに学習者がいて、それを支える教師がいるという、学びの場が成立している。 「よく気づいたね」「こんな方法もあるよね」 といったさりげない先生の言葉が、やはり生徒には大切であり、それを「ICT」の活用が貢献しているように、私には思えた。 最後に 私はNHKなどの語学番組をよく見るが、年々、学習者負荷、ノイズ、定着という観点から改善が加えられ、数百万の視聴者の学習を支えている。以前は焦点を当てる、暗記に挑戦する例文が5つ程度だったが、20分の番組で次回に向けて精選し2つ程度にまで減っている。文法解説よりも「より多くの音」が提供され、聞く力を高め、発話の機会が自然に与えたれるようになっている。 |