岡崎市立葵中学校/平成25年度1~3月 |
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セールスポイント |
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タブレットPCと情報共有ソフトを使った授業研究 タブレットPCの環境が整ったことと、教師、生徒がタブレットの使い方に慣れてきたことから、情報収集ソフトを用いて、学び合い・磨き合いのある授業の研究を進めました。 |
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実践経過 |
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成果と課題 |
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○ICTの特性を活かして、授業を創作していけるようになりました 「紙やホワイトボードでも、同じような授業ができるのではないか」という授業から、「ICTがなかったら、今回の授業は出来なかった」といった授業を展開することができるようになりました。「写真よりも動画の方が理解しやすい」「自分のペースで学習を進めることができる。」など、ICTの特性を教師が理解して、学び合いの方法を広げることができるようになりました。 ○成果をどのように検証していくか ICTを通して生徒の学び合いの場ができ、学習の中で活発に意見の交換ができるようになってきているが、どのようにこの変化を検証結果としてまとめていくかが大変難しい。ルーブリック等の評価基準を考えて、研究を進めていく必要があると課題を持ちました。 |
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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など) |
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○各企業に協力を頂いています タブレットや情報収集ソフトのある環境が整っています。しかし、その特性を活かした使い方を知らなければ、「宝の持ち腐れ」になってしまします。そこで、各企業の方にお願いをして、使用例について説明をして頂いています。 しかし、ただ説明を聞いていても、実際自分の学習に取り入れるイメージを持つことは、これまで難しかったです。そこで、研究授業を通して、説明をして頂くことにしました。 まず、研究授業をする教師が企業の方から説明を受けます。そして、教師がその説明から授業を作り、その授業を見て機器やソフトの特性を学習する校内研修を行いました。 |
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1年間の実践を終えての感想 |
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○-教師力のUP-
○生徒の表現力UP
△-生徒の情報活用能力をさらに伸ばす-
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次年度への思い |
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○新しい先生と共に楽しく研究を進めたい 新年度になり、ICTに慣れた先生が転勤になりました。そしてICTに慣れていない新しい先生がたくさん転入されました。きっと、ICTを使うことに心配な気持ちを持っているのではないかと思います。 しかし、今までの先生も、初めは同じような気持ちでスタートしてきたわけなので、また、みんなで生徒が楽しく学習を進められるように、全員で力を合わせて研究を進めていきたいです。 10月22日に研究発表を行います。ぜひたくさんの方に参観に来て頂きたいです。 |
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アドバイザーコメント |
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和歌山大学 教育学部 附属教育実践総合センター 豊田 充崇 先生 |
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葵中学校は、10月22日の公開研究会の以後も「日常的な活用」を目指して日々授業研究に取り組まれていますが、今回は、年度末(3月19日)の訪問を中心にレポートしたいと思います。 もうこの3月末の授業は、学年末考査の返却も終わり、言葉は悪いのですが、いわば「消化試合」的な段階です。しかしながら、生徒たちの学習意欲や集中力は普段と変わらないどころか、いつもより増して積極的な取り組みであったように思います。その理由の1つは、理科担当教員の最後の授業であることを生徒たちが理解していたことにあります。授業後には生徒から1年間の授業へのお礼が述べられました。「楽しく工夫された授業で理科への苦手意識がなくなった」との言葉も付け加えられていたのです。私自身、こういった風景を見たのは初めてのことであり、タブレットPC活用の有効活用場面を参観したことよりも、むしろこちらのほうが印象的でした。日々の先生方の授業にかける熱意やICT活用を含めた教材の工夫などが、生徒らの学習意欲につながっていることが示された場面であったのではないでしょうか。つまり、古臭い言葉になるかもしれませんが、「先生も、自分たちのためにがんばってくれているのだから、自分たちもがんばらないと」といった雰囲気が伝わってきたように思います。 さて、参観した授業についてですが、まずは教員のデジタル教材の提示から始まりました。雲の動きや前線の変化を示した提示用教材を準備し、自分たちが体験した天気の状況と照らし合わせながら復習していきます。自作のデジタル教材や教材DVDの提示など、指導者による提示用としてのICT活用は、効率的で分かりやすいことは間違いありません。 また、その後には、グループでの話し合いのためのツールとしてタブレットPCが活用されています。雲の動きに合わせて、天候がどのように変化していくのかの予想を書き込み、それを各グループで共有していきます。 「授業者によるデジタル教材の提示(復習と課題の設定)」→「グループ内での検討と結果の記入」→「全体で考え方の共有と発表」が、バランスよく時間配分され且つ継ぎ目なく展開していきます。ICTに関する機器トラブル対応や操作で迷うことも無く、日常の授業で、教具・文具としての位置づけで運用されている様子がうかがえました。今回公開された授業は特別な位置づけではないということが、ICT関連機器の準備・片付けの手際の良さからも察することができました。 今年1年間を通しても、大規模校での日常化したICT活用のモデルとして大きな功績(実践事例)を残してきた葵中学校ではありますが、今回の授業は、普段の授業にしっかりと根を張った堅実なICT活用がなされていました。 葵中学校は、「グループ内にタブレットPC一台体制」を主軸に、「ペアで1台の活用」及び「ひとり一台体制」も含め、あらゆる教科に渡っての活用事例を残してきました。このような点から、タブレット端末活用に目がいきがちですが、デジタル教科書や実物投影機の活用、自作の提示用デジタル教材の活用も含め、多面的なICT活用のアプローチがなされており、適材適所で活用されています。派手さはないかもしれませんが、より「分かる授業」、「生徒が活躍する授業」の一助となっていることは確かです。 さて、次年度の展望に目を向けますが、多くのICT活用実践事例・活用場面を累積してきた葵中学校は、その成果を周辺地域そして全国に発信していく役割を担う必要があります。ただ、中学校はその校種の特性上、教科間の壁をはじめ部活指導・進路指導・生徒指導に時間が割かれ、なかなか学校全体での研究推進が困難です。そこで、授業改善の方策としてICT活用に着手するためには、その学習効果をはっきりと示していくことがまずは先決であると考えられます。誰もが生徒に分かりやすい授業、生徒が活躍する授業を望んでいますが、なかなか踏み出せないでいるのが現状です。それはハードウェア環境の整備もさることながら、やはりICTで本当に効果があるのかという疑念も大きいといえます。 次年度の葵中学校の先生方には、「なぜその場面でICTを活用するのか」、「何を意図したものか」、そして、「実際のところその学習効果はどうだったのか」などをこれまで以上に他校の先生方に向けて発信していただきたいと考えています。 もちろん、失敗事例も含めてです。「こういう使い方は、ダメだった」ということも一つの大きな情報源だと思いますし、むしろ全てが成功例であるような研究は逆に疑わしいともいえます。そういった失敗例の積み重ねによって、今の成功事例があるというプロセスを示せることが理想的であると思います。 ※次年度の公開授業日も平成26年10月22日と決まり、原則として全学級公開として実施するとのことです。ぜひ、ご参加いただきまして、特別研究指定校としての「日常化したICT活用の効果」を多様な実践事例から実感して頂ければと思います。 |
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