岡崎市立葵中学校/平成26年度4~7月 |
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研究課題と成果目標 |
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[研究課題] 学び合い・磨き合いを軸にした思考力・判断力・表現力の育成 [成果目標] 生徒の思考力・判断力・表現力の育成を目指して、書画カメラ,デジタルカメラ,ビデオカメラ,電子黒板などのこれまで整備されている機器について、実践を通して教育的効果を検証する。また、タブレットPCをはじめとした、新しいデジタル機器を利用した授業づくりを進め,ICT機器を用いた授業の実践事例を増やしていく。さらに、生徒のICT活用能力を高め,学習の中で進んで使用できる力を育てる。 |
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本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応 |
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本年度は、ICTの特性を生かした授業開発を進めています。 4月 2日 研究推進委員会
前年度の反省を生かして,本年度の研究の方向性を立てました。
16日 公開授業 英語(2年、3年) 大分県中津市の市議会議員の方が視察に見えました。 5月 14日 校内授業研究会 算数(1年)豊田先生を迎えて
新しく本校に赴任された先生に、ICTを使った授業を見てもらいました。 15日 指導員訪問 国語(1年,3年)、特別支援 「大きく映し出すよさ」を使った授業を行いました。 28日 指導員訪問 国語(2年)・音楽(1年) 国語では「タブレットPCの考えを共有できるよさ」を取り入れ,タブレットPCと単焦点プロジェクターを用いて授業を行いました。「自分の活動を把握できるよさ」を取り入れ,自分の歌声を比べながら学ぶ授業を行いました。 6月 11日 指導員訪問 社会(1年,2年,3年) 社会では,資料をタブレットPCや書画カメラを用いて,共有しながら学び合いを進める学習を行いました。 30日 公開授業 数学(1年)理科(1年)
兵庫県加東市立社中学校の先生方が参観に見えました。 7月 16日 校内授業研究会 豊田先生を迎えて 家庭科(1年)国語(1年)数学(1年)
家庭科では,調理実習の手順をタブレットPCに保存しておき,必要な時にいつでも確認できるようにしておきました。 昨年度の実践をふまえ,ICTがあるからできる,学び合いのある授業を進めました。 |
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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など) |
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失敗談1 Windows8からWindows8.1に更新したら、タブレットが使えなくなった! Windowsを更新したら、電源ボタンを押しても,OSが立ち上がらなくなりました。 失敗談2 タブレットPC破損 調べ学習中に,タブレットPCを誤って落としてしまい,表面のガラスが割れました。 新しく本校に赴任した先生は,初めは「ICTの研究をしている葵中学校」に赴任することになってしまったと,不安だったようです。しかし,研究には進んで参加してくれました。「タブレットでできることはなんですか」「デジタル教科書は使えますか」など,初めての研究授業でタブレットを使った授業に挑戦してくれました。 今年度も,全員で協力して研究を進めていけそうです。 |
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成果 |
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今後の課題 |
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本年度より,文部科学省から「ICTを活用した教育の推進に資する実証事業」の実証校に指定され,岡崎市からも,「タブレットパソコン活用」「ICTを活用した21世紀型授業の創造」の研究委託を受けました。 |
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公開研究会の計画 |
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平成25・26年度 パナソニック教育財団実践研究助成特別研究指定校 ・研究主題 学び合い・磨き合いを軸にした、思考力・判断力・表現力の育成
・申込締切 平成26年10月3日(金) ・申込方法 下記のホームページアドレスに掲載している参加申込書に ※本案内は、本校ホームページにも掲載してあります。 ホームページアドレス http://www.oklab.ed.jp/weblog/aoi/ |
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アドバイザーコメント |
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和歌山大学 教育学部 附属教育実践総合センター 豊田 充崇 先生 |
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一学期は5月と7月に葵中学校を訪問させていただきました。5月初旬の訪問時には既に1年生から「葵カラー」(授業規律や決まり事を守っての学校生活習慣)が捉えられており、そして7月の夏休みの際の訪問時には、ほぼ一学期授業の終盤で暑い中にもかかわらず生徒らの集中力が尽きない様子が印象的でした。 授業の内容は、CAI教材の個別活用から、実物投影機を用いたシンプル且つ効果的なもの、自作デジタル教材・映像教材を用いた「準備に手間をかけた」授業までバリエーションがありました。いずれも、「こなれている感」があるのは、まずは生徒側にも物珍しさがなく、完全にひとつの教材であるという認識を持っている点、そして先生方はデジタルでなくとも日々掲示物・実物等の工夫をしているので、その一環としての活用がなされているからだと思います。 5月は特に新しい年度のはじまりということで、授業参観後に改めてICT活用に関する講義も実施しました。 まず、最初に「タブレット端末一人一台体制」での活用には、その学習効果を得るために大きなコスト(費用だけではなくて、時間・労力・スペース・配慮等)がかかります。葵中学校では、研究だけで終わる授業ではなくて、その日常化が目指すところであり、次年度以降も継続できるかという視点を持つことは重要です。
・時間的ロス(準備・片付け時間、起動・ログイン・終了時間、動作速度)はどの程度のものか など、多様な視点でその実現性と継続性を考える必要があることを示しました。 ただ、葵中学校では、生徒自身による準備や片付けが徹底されており、通常と比較しての意識の分散も無く、タブレットPCを通常の学習教材のひとつとして捉えています。この点で、導入に関する懸念事項として、「コストや運用面」での懸念は極めて小さいといえるのではないかと思います。 次に「授業展開」です。タブレット端末活用授業については、どの授業場面でどの程度の時間・内容を学習するかをきっちりと事前に確認しておく必要がありますが、なかなか事前にシミュレーションできないため、一斉に30台以上を配布して稼働させてみないとどうなるかわからないという不安が大きいといえます。 例えば、実物投影機のような簡便な手段であれば、その場でその活用方法を考えることも可能かと思います。しかしながら、タブレット活用授業では、生徒たちがそれを実際に操作するために、どの場面でどの程度、どの内容をどのように操作して学習するのかを計画的におこなっていないと混乱することは確実です。 指導案に記載される「考える」という言葉ひとつとっても、タブレットPCの何でどうやって、「考える」のか、そのアウトプットをどう示すのか具体的に準備しておく必要があります。「○○について考えてみましょう」という場面で、実際の活動を見ると「2つの情報を比較」していたり、「構造化・順序立て」をしていたり、「変化を捉える、評価する」といった場面であったりしますし、あるいは「不足情報を補う」という場合もありました。指導する先生の頭の中では具体的な活動場面や発問がイメージできているにもかかわらず、指導案には「~について考える」とだけ記述されている場合があります。通常の教科書主体の一斉授業では、生徒に考えさせる場面がなんとなく想起されるのですが、タブレットPC活用場面では、生徒主体であるからこその困難さがあります。 このように、タブレット端末活用授業は、特にタブレットを使って具体的にどのような学習展開をおこなうのか、どうしてそれを使う必要があるのか、どういう操作をして、何を見て考えるのかといったことを明記しておかないと、「タブレットを使う(使わなければならない)研究をしているから使っている」というハードウェア先行的な授業になってしまう可能性があります。 但し、タブレット端末を一人一台体制で使ってみて、この場合はペアで1台利用のほうがよかったとか、グループ一台で充分だったとか、必要な生徒だけが使うようにしておくほうが効率的だったなど、実感として見えてくるところもありますので、テクノロジープッシュであっても、そこから何を得たのかをはっきりとさせれば1つの研究として価値が出ると思います。 こういった点をお話させていただきまして、10月の研究会に向けて、「ICT活用の目的意識をはっきりさせた授業・日常化し継続性のある授業・学習効果を実感できる使い方」を目指してもらいたいと思います。 |
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