実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に対する助成制度)

第40回特別研究指定校(活動期間:平成26~27年)

多摩市立 愛和小学校 /平成26年度8-12月期

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研究課題と成果目標
研究課題と成果目標

取組内容
取組内容

裏話
裏話

成果
成果

今後の課題
今後の課題

公開研究会の計画
公開研究会の計画

アドバイザーコメント
必見! アドバイザーコメント

 

研究課題と成果目標

 

[研究課題]

タブレットPCの日常化が拓く新たな教育Styleの創造
      -学びの環境(授業、教師、地域)のRe-designを通して

[成果目標]

  • タブレットPCの日常化を促すルーティンの確立
  • 活用できるアプリケーション一覧の作成
  • 代表的アプリケーションを活用した協働学習、表現活動の授業展開のモデル化
  • タブレットPCの日常化がもたらす(教員、子供の)変化の把握
  • タブレットPCの積極的活用による基礎基本の定着とキーコンピテンシーの育成

本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応

 

【校内研究会の開催(5回ーうち授業研究4回)】

  • 8月28日 授業検討(分科会毎)
  • 9月28日 授業研究(4年生)
    国語「だれもがかかわり合えるように」
    学習支援アプリRealTime-LMSの活用による協働学習の在り方をめぐって1
  • 10月31日 授業研究(6年生)
    学級活動「下級生に伝えたいこと〜第1回卒業生として〜」
    学習支援アプリRealTime-LMSの活用による協働学習の在り方をめぐって2
  • 11月11日 授業研究(3年生)
    算数「三角形のなかまを調べよう」
    学習支援アプリRealTime-LMSの活用による協働学習の在り方をめぐって3
  • 12月10日 授業研究(1年生)
    国語「よく見てかこう」
    学習支援アプリRealTime-LMSの活用による協働学習の在り方をめぐって4

多摩市立愛和小学校活動報告イメージ1

多摩市立愛和小学校活動報告イメージ2

【授業の公開(1回)】

  • 11月22日 授業公開&パネルディスカッション等
    午前:授業公開2時間(協働学習&プログラミング学習)
    午後:パネルディスカッション「公教育は変わるのか?誰が変えるのか!』

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【アドバイザーの助言と助言への対応】

  1. 訪問アドバイス時の助言(11月11日)  
    協働学習の一つの型はあってよい。しかし授業全部をその一つのパターンに押し込めるのではなく、型としては質的に改善を図りつつも、他に探索していってほしい。
    校内研究会においては、協働学習の在り方について提案性をもった授業を示していってほしい。これまでの授業、授業観にとらわれ過ぎないことが大事である。
    何故、協働学習が大事なのか。それは社会では知恵を出し合い、討議をして最適解を出す仕組みになっているからであり、協働的に学ぶことで問題解決自体の質が高まるからである。協働学習の型としては、①教えあい・助け合い、②資料・情報の交換、③相互評価、④討議、⑤意思決定、等がある。協働学習における教師の役割として最も大事なことは、①子どもに学習課題と目標の構造をしっかりと説明すること、②子どもの達成度を適切に評価することである。  
    1年目の中盤としてはハードルの高い話をしたが、それは愛和小学校の取り組みに対して大きな期待をもっていることの表れである。
  2. 助言への対応
    • 今期の授業研究では一人一台のiPadと協働学習支援アプリ「RealTime-LMS」を使って、協働学習形式の学び方を実践研究してきた。RealTime-LMSを使うことで書き込まれたコメントを教師が選んで紹介したり、コメントが書き込まれていない子どもの意見に対して書き込みを促したりした。タブレットとアプリを利用した双方向性が教師の授業運営に役立つようになった。RealTime-LMSの機能を積極的に活用することで、一覧表示から始まり、比べる、つなげる、まとめる、組み直すといった思考操作によって課題解決に向かって考えが練り上げられていく場面も見られた。しかし授業者の教材研究が不十分であったり、操作面ばかりに気を取られすぎたりすると話し合いが表層的に行われ学習が深まっていかないことも十分に気をつけなければならないことが明らかになった。
 

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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など)

 

全4回の授業研究に、ICT教育ニュース様が取材に入っていただいたこと。一つの学校の校内研究が継続的にメディアに取り上げられる嬉しさとともにその影響を考えると緊張感で身が引き締まる思いをした。

多摩市立愛和小学校活動報告イメージ5

今期間の協働学習に使用した学習支援アプリ「RealTime-LMS」を子どもたちが考えを深めるツールとして使いこなしていたこと。特に1年生でもその使用が可能であることには正直驚いた。
また教員がこのアプリを活用し、協議会ができるようになったことが最高の喜びである。
ICTの推進においては教員のリテラシーの問題が云々されるが、日常的な活用が最も大事な研修であることに改めて気付いた。

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成果

 
  • タブレットPCの活用が日常の教育活動の中に溶け込んできた。毎日の教育活動にタブレット使用が当たり前の光景となりつつある。
  • 授業開始時や課題が早く終わった時、すきまの時間などに基礎基本のアプリを活用しその習熟が図られてきた。
  • 学習支援アプリ「RealTime-LMS」の活用によって協働学習の型が見えはじめてきた。課題解決に向け考えを深めるには、アプリの機能を活かして一覧表示-比べる-つなげる-まとめる-組み直す、と言った思考操作が有効であることがわかってきた。
  • タブレット使用の日常化は、次の7つのコンピテンシー育成に有効であることがわかってきた。
    ①集中力の持続、②基礎基本の定着、③検索力の向上、④思考力の鍛錬、⑤個と多様性の尊重、⑥表現力の上達、⑦意欲の醸成

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今後の課題

 
  • 上記に示した7つの効果をEvidenceをもって成果を示すこと。標準化された学力調査や学級満足度調査(Q-Uアンケート)から変容を探っていく。
  • 子ども達のタブレット使用の活用ログを記録しておく。現在各自治体がタブレットPCの導入を図っているが、その成果はタブレットPCを活用した時間量が、使用しない時との有意差が出るほどまでに使用しなければ、真の成果を示すことはできないと考える。
  • RealTime-LMS等学習支援アプリを活用した協働学習の一層の推進を図っていく。

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公開研究会の計画

 
  • 平成27年 3月7日(土)授業公開 Evidence × iPad (予定)

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アドバイザーコメント

長崎大学大学院教育学研究科 准教授 寺嶋 浩介 先生

 

愛和小学校の取組は,1to1コンピューティングの日常化を今後日本で考えるにあたっては,大変重要なものだと私はとらえている。同校に11月に訪問したおり,その前(6月)と比較すると以下の様な違いを感じた。

  • タブレット端末を利用するということに関しては,多くの先生方には抵抗がなくなっている。もちろん,子どもにとってはかなり手慣れたものとなってきた。
  • タブレット端末を利用するステップとしては,アプリによる個別学習(ドリルなど)からはじまり,子どもが回答をしたものを電子黒板などの大型ディスプレイに転送するような取り組みを行っていくようである。
  • これは,通常の学習指導の取り組みともあうので,多くの学校にもうまくマッチすると考えられる。
  • その先のステップとして,協働学習におけるタブレット端末の活用を目指していくような取り組みがすでに見られるようになった。
    かなり速いペースで進んでいると思う。当初は様々なアプリを試して行くようなことを検討していたが,報告にもあるように,その中からRealTime-LMSというアプリの活用を深めていくようになっている。
    この視点から,当初は共通理解をするために,このような突破口を作ることも重要であるが,協働学習の型はもっと色々とあるのではないかとアドバイスした。
  • 教師間に学力観についての開きが相当みられる。例えば協働学習場面をひとつとってもそれを通して実現しようとしている学力への考え方に相当な開きが見られる。
    タブレット端末の活用云々よりも,この本質的な違いについてもう少し議論を重ねないといけないのではないかと考える。

11月に訪問した際は,槇田教諭が3年生の算数の授業を公開された。実際には反省点になってしまったが,授業の準備段階で子どもがどのような思考過程をたどるのかということについて,教員チームの中で協働的に考えていた。
また,当日の授業においては,授業参観者もタブレット端末を持ち込んで,授業の良い点や課題となる点をレスポンスアナライザ的に活用しながら,事後の研究会において多くの教員から言及された点について授業者とともに検討しあっていた。 このような授業研究会での工夫も評価できるし,今後も注目したい点だ。

学校としては,今年度末に学力向上へのエビデンスを示すことができるように検討中だそうである。同校の取り組みから目が離せない。

 

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