・春日学園つくば市立春日小学校・春日中学校 /平成27年度4-7月期 |
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研究課題と成果目標 |
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[研究課題] ICTを活用した 思考力・判断力・表現力を育む授業づくり [成果目標] ICT機器の有効活用により,児童生徒が思考する時間を十分に確保する。そして,思考した結果を,ネットワーク等を介して共有し,学びを深め合えるようにする。また,他校との協働学習を行うなど,学びの広がり・深まりが得られるような学習スタイルを構築する。 |
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本期間の取り組み内容/アドバイザーの助言と助言への対応 |
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(1)2年1組 考える時間「どっちがいいかな?」 授業者 細田愛 ○目標 ベン図を活用して,複数の視点から共通点と相違点を見つけることができる。 ○内容 図工の題材である「ぷかぷか ゆらゆら」で用いる容器(ペットボトルとスチロール)を,ベン図を用いて比較し,どちらかを選ぶことを通して,思考スキル「比較する」を身に付ける学習である。比較して考えたことを共有するためにICT機器「ぼうけんくん」を活用し,他者の考えのよさにも気づかせていく。 (2)3年5組 社会「市の様子」 授業者 沢辺多加子 ○目標 春日・研究学園地区と竹園地区の地形,土地利用の様子,主な公共施設などの場所とはたらき,交通の様子,古くから残る建造物を比較し,相互の類似点・相違点を考えることができる。 ○内容 スカイプを利用して他校との情報交換を行う。そこで得られた情報をマトリックスで整理し,他校の地域(竹園地区)と本校の地域(春日地区)との比較をし,双方の地区の特徴を明らかにしていく学習である。ここでは,思考ツール「マトリックス」を用い,思考スキル「比較する」を活用することで,思考力を高めていく。 (3)4年5組 算数「およその数を調べよう」 授業者 牧之段拓 ○目標 場面に応じて,切り上げなどの適切な処理をし,見積もりをすることができる。 ○内容 博物館に行くための費用を見積もるにあたって,適切な見積もりの方法を学ぶ学習である。ここでは,交通費などの各料金を四捨五入した場合と切り上げた場合との結果を予想・比較させるために,思考ツール「キャンディチャート」を用い,思考スキル「推論する」を活用することで,思考力を高めていくことを意図した。また,提示装置を利用することで,学習課題を短時間で把握したり,互いの考えを視覚的に捉えられるようにしたりした。 (4)5年2組 考える時間「防災について考えよう」 授業者 小島桂 ○目標 防災の大切さについて,根拠をもとに考えを組み立て,相手に分かりやすく伝えることができる。 ○内容 防災の大切さについて,根拠をもとに意見を組み立て,筋道立てて表現するスキルを身に付ける学習である。ここでは,思考ツール「クラゲチャート」を用い,思考スキル「構造化する」を習得する。デジタル思考ツールとタブレット端末を活用し,全員参加型の授業を展開した。 (5)6年4組 つくばスタイル科「ストップ!地球温暖化」 授業者 永田嘉顕 ○目標 二酸化炭素排出削減のために,私たちにできることは何かを,学習してきたことと関連付けて述べることができる。 ○内容 自分たちが行った二酸化炭素削減活動「エコアクション」について,PREP法を用いてよさを効果的に伝える方法を学ぶ学習である。PREP法を用いることで,何を,どのような順番で伝えると,分かりやすく伝わるのかを学ぶことができる。ここで活用する思考スキルは「順序付ける」である。また,エコアクションのよさを伝える際,児童はさらなる根拠を求め,タブレットを用いて情報の収集・選択を行った。これにより情報活用力を高めることもできた。 (6)7年4組 数学「文字と式」 授業者 杉山優子 ○目標 マグネットの数を規則的に増やしながら並べていくとき,n番目のマグネットの個数「n」を使った式で表すことができる。 ○内容 マグネットの数の変化について,思考ツール「マトリックス」を使って,数の規則的な変化を捉えられるようにした。次に,その数を式で表現することで,n番目の数を表す式を導けるようにした。ここでの思考スキルの活用は,思考スキル「変化をとらえる」と思考スキル「変換する」である。考えを伝える場では,スタディネットのストローク機能を活用し,どのような順番で最終的な考えにたどりついたのかを「見える化」し,他者の考えを深く理解できるようにした。また,複数の考え方を比較表示することで,さまざまな考え方があることに気付けるようにした。 (7)7年2組 技術家庭「食品の選択を考えよう」 授業者 中村瞳 ○目標 食品表示を読み取り,相手や目的に応じて,食品を選択することができる。 ○内容 「サザエさん一家にハムを選んで届けよう」という学習課題のもと,相手や目的に応じ,食品表示などを参考に食品を選択する学習である。ここでは,思考ツール「なぜなにシート」を用い,根拠をもとに考えをつくる思考スキル「構造化する」を活用する。また,考えを共有するために,スタディネットライトを用いる。これにより,強調したいところに線を引きながら,意見を述べるなど,効果的に伝えることができた。 (8)9年1組 理科「運動とエネルギー」 授業者 松田啓寿 ○目標 2種類のジェットコースターのコースについて,到着時間が異なる理由を考える活動を通して,力学的エネルギーの保存についての理解を深めるとともに,到着時間が異なる理由を力学的エネルギーの特性をふまえて説明できる。 ○内容 2種類のジェットコースターでボールを転がした時,早くゴールに着くのはどちらかを考える中で,力学的エネルギーの特性について深く学ぶ学習である。ゴールに到着するまでにかかる時間を,思考ツール「キャンディチャート」を用い,思考スキル「推論する」を活用して考えていく。ここでは,互いの推論を根拠の正しさに注目して学び合うために,ぼうけんくんを活用して考えを共有できるようにした。 [アドバイザーの助言と助言への対応]
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裏話(嬉しかったこと、苦心談、失敗談 など) |
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新年度に入り,研究をさらに進展させるべく数多くの校内研修に取り組んできた。本校の教師は教育に対しとても前向きで,ICTに関する研修の翌日には早速,多くの教師がICT機器を授業に取り入れていた。指導案検討や発表会の準備にあたっても,発表者の教師をサポートし,ともに学び,ともに高め合う学校になっている。 |
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成果 |
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今後の課題 |
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(実践計画例)
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公開研究会の計画 |
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アドバイザーコメント |
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大阪教育大学 教授 木原 俊行 先生 |
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-春日学園 つくば市立春日小学校・春日中学校のさらなる挑戦- 平成27年度も,パナソニック教育財団の実践研究助成・特別研究指定校として,春日学園(つくば市立春日小学校・春日中学校)は実践研究を推進している。それは,平成26年度の取り組みを踏まえつつ,さらなる挑戦を志向するものだ。本小論では,同校のさらなる挑戦をいくつか,解説したい。 まず,大規模校の宿命であるが,平成27年4月に,春日学園にたくさんの教師が異動してきた(当然,平成26年度のスタッフが少なからず他校に転出した)。それは,春日学園の実践研究に新しい視点をもたらす可能性を秘めてもいるが,やはり,一般的には,その継続・発展のハンデになる。とりわけ,春日学園のように,ICT活用,思考スキルの活用,施設一体型の小中一貫教育を推進するとなれば,新たに赴任した教師がそれらに戸惑いを覚えることも少なくなかろう。しかし,例えば,11月10日の研究発表会においては全クラスの授業が2コマにわたって公開されるなど,春日学園は,新たに赴任した教師も一体となって,実践研究を力強く前進させている。 また,授業がより革新的になってきている。それは,タブレット端末や電子黒板という新しい技術の利用だけでなく,カリキュラムの再構築という色合いを帯びている。例えば,9月上旬の研究授業では,第3学年の理科において自然の様子を言葉豊かに語ることが子どもに求められる(国語的),第7学年の音楽の授業における楽曲の鑑賞にグラフが導入される(数学的)といった合科的アプローチに象徴されよう。その歩みは,野中ほか(2013)による「教育における情報化の普及プロセス」に合致しており,春日学園の実践研究の歩みの確からしさの証である。 春日学園の教師たちのチャレンジは,校内研修,授業研究の企画・運営にも確認される。同校の教師たちは1年間に何度も,他校の教師たちに授業を公開する機会を設けている。それは,学校発足以来のポリシーなのだが,一方で,校内の同僚間でじっくり授業について語る機会を持ちがたいという悩みの原因になってもいた。そこで,本年度,春日学園の教師たちは,9月の授業公開の日に,これまでとは異なるスタイルの授業研究会を企画・運営した。具体的には,他校の教師たちには授業は公開するものの,それに関する協議は校内の教職員だけで進められた。彼らは,いくつかのグループに分かれて,思考ツールを利用して当該研究授業の可能性と課題について,多面的に意見を交換していた(写真)。また,それを,全体会において交流していた。それは,春日学園の実践研究の現状を密に分析できる,よき機会となった。 これらは,ほんの一例である。春日学園は,毎年,新たな挑戦を繰り広げている。だから,いつ出かけても,なにか新しいものを目にできる。たくさんの方に,何度も春日学園を訪問していただき,そうした私の思いを確かめていただきたい。 *野中陽一,堀田龍也,高橋純,豊田充崇,木原俊行,岸磨貴子(2013)「教育の情報化の普及過程に関するモデルの開発」『日本教育工学会第29回全国大会講演論文集』717-718 |
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