実践研究助成(初等中等教育現場の実践的な研究に関する助成制度)
平成22年度 先導的実践研究助成贈呈式レポート
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■成果報告会を開催!約150名が参加
  成果の報告・他校との交流で今後の研究につなげる!

実践研究助成の成果報告会が、平成22年8月5日、東京・日暮里のホテルラングウッドで開催されました。

「実践研究助成」は、視聴覚・情報通信メディアを活用して教育の課題改善に取り組む全国の学校のために、パナソニック教育財団が行っている助成制度です。特定の課題に2年間じっくりと取り組む「特別研究指定校」と、自由なテーマのもと1年間で取り組む「一般助成」に分かれます。今回は、第34回の特別研究指定校4校と、第35回の一般助成校(対象71校のうち参加68校)が成果報告を行い、また第35回の特別研究指定校3校が中間報告を行いました。当日の報告の模様から、各校でどのような成果があったのか、見て行きたいと思います。
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成果報告/第32回(平成18年度)
■分科会ごとの報告で成果を明確にし、新たな気づきを得る 
校種・研究課題に基づき10分科会に分かれて行われた成果報告T。
A分科会では、第35回特別研究指定校の3校が、1年間の活動を終えた中間時点での報告を行いました。それぞれの報告に対し、アドバイザーの先生方からご助言をいただくともに、既に2年の実践研究を終えた第34回特別研究指定校、現在 研究推進中の第36回特別研究指定校の先生方からも質疑を受け、活発な議論が繰り広げられました。
成果報告会I
成果報告会I
【A 分科会 特別研究指定校】
指導者 :
赤堀侃司 (白鴎大学教授)
浅井和行 (京都教育大学院教授)
木原俊行 (大阪教育大学教授)
新地辰朗 (宮崎大学院教授)
野中陽一 (横浜国立大学准教授)

B〜J分科会では、第35回一般助成校が、前年5月に行われた助成金贈呈式でのくるま座ディスカッションと同じメンバーで分科会を構成し、成果報告を行いました。研究スタート時の資料と照らし合わせながら、当初の目標や計画に対し、1年間どのようなアプローチを行ったのか、その結果どのような成果を得たかなどを報告しあいました。アドバイザーの先生方からの助言を得ながら活発な質疑応答が繰り広げられ、相互の研究成果やアイデアの共有を図りました。(各分科会のテーマ・校種・指導者(敬称略)を以下にご紹介します。B、D、G、H、J分会については、報告の一部を紹介しておりますので、ご覧ください。)

【B 分科会】
テーマ : 小学校英語、国際交流
校 種 : 小学校
指導者 : 大島 聡 (横浜国大立学 教授)

【C 分科会】
テーマ : 地域、総合
校 種 : 小学校
指導者 : 吉崎 静夫 (日本女子大学 教授)

【D 分科会】
テーマ : 学力向上、授業力
校 種 : 小学校
指導者 : 成田 雅博 (山梨大学 准教授)

【E 分科会 テーマ : 活用力、実践力
校 種 : 小学校
指導者 : 北澤 武 (首都大学東京 准教授)

【F 分科会】
テーマ :デジタルコンテンツ
校 種 : 中学校
指導者 : 波多野 和彦 (江戸川大学 教授)

【G 分科会】
テーマ : 情報モラル
校 種 : 中学校
指導者 : 松田 稔樹 (東京工業大学 准教授)

【H 分科会】
テーマ : 産業教育
校 種 : 高校
指導者 : 木下 昭一 (聖徳大学 教授)
           山路 進 (日本私学教育研究所 主任研究員)

【I 分科会】
テーマ : 国際交流
校 種 : 高校
指導者 : 井口 磯夫 (十文字学園女子大学 教授)

【J 分科会】
テーマ : 特別支援教育
校 種 : 高校
指導者 : 金子 健 (明治学院大学 教授)

詫間 晋平 (くらしき作陽大学 教授)

■ワークショップで深める、交わる

各校からの成果報告の後、浮かび上がってきた共通課題について、解決策を協議するワークショップが実施されました。協議は2チームに分かれ、付箋などを活用するKJ法で進められました。短時間ではありましたが、参加者全員が共通の課題に対し、互いの意見やアイデアを交流させることができました。
(ワークショップの詳細はこちら)

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分科会2/第34回(平成20年度)
■「特別研究校」第一期助成校によるはじめての成果報告会
“実践を深め、その取組み過程や成果を学校や地域に定着・普及させる”ことを目的に、平成20年度(第34回)より新たに設けられた「特別研究指定校」制度。今回はその第一期助成校にあたる第34回特別研究指定校が、全体会の場において成果報告を行いました。

それぞれの成果報告に対し、大阪教育大学教授 木原俊行先生、白鴎大学教授 赤堀侃司先生、京都教育大学教授 浅井和行先生からご質問やご助言を得て、ディスカッションが繰り広げられました。

ディスカッションでは、財団の指定テーマである子どもたちの「学力育成」や「人間力育成」に対しICTがどのように活用されたのか、「特別研究指定」を受けたことで学校や教員がどのように変わり、その成果がどのような形で学校に定着していったかなどが明らかにされました。

それぞれの成果報告と協議内容を紹介します。

テーマT「確かな学力の育成に向けたICTの活用」
富山室中部小学校(富山) 石黒正美 教諭
研究課題 :
日常の授業における基礎的な学力向上のためのICT活用指導法の開発
三次市立三和小学校(広島) 愛甲昌弘 教諭
研究課題 :
論理的に考え表現する力を育成する授業の創造
〜ICTを活用した国語科・算数科の授業改善を通して〜」
坂出市立府中小学校(香川) 藤川直人 教諭
研究課題 :
個に応じた学習支援活動を通して、意欲の向上と基礎・基本の
確実な定着を図る
〜すべての普通教室における様々なICT機器の効果的な活用を通して〜

テーマII「人間力の育成のためのカリキュラム開発」

上越市立城北中学校(新潟) 大塚啓 教諭
研究課題 : 地域と進めるキャリア教育の展開

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全体会 /第34回(平成20年度)
成果報告会に参加頂いた先生方々の声
小学校
主任:
情報交換の機会としてとても参考になった。
小学校
教頭:
成果・課題についてふり返ることは大切であり、今後の研究に向かってのはげみにもなる。
小学校
教諭:
いろいろな学校やグループの取組や実践を知ることができ、とても勉強になった。
小学校
教諭:
さまざまな取り組や意見交流、又は大学の先生の助言等を聞くことができてこれからの研究や研修の参考になった。
小学校
教諭:
研究の継続性の面から大変重要だと思う。

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全体会 /第34回(平成20年度)
更に交流を深めた“情報交流会”
特別研究指定校の成果発表会の終了後には、情報交流会が開かれ、助成を受けた参加者同士や審査委員の先生方との交流を深めました。


第36回特別研究指定校 東京練馬区立中村西小学校 
石井盛博 校長先生

「私たちは6年前より各教科で子ども達が自分の考えを表現し、互いに表現し合うことで考えを深めて目標を達成し、さらに表現することを楽しいと感じることを目指してきました。今回、電子黒板や実物投影機を使うことで、情報を共有して、互いの意見を具体的に分かりやすく伝えやすくなり、子どもたちは表現する喜びと自分の意見を理解してもらえるという二つの喜びを味わっているようです。また、堀田先生にアドバイスいただいたことで、私たち教員もそれぞれが10歩でも20歩でも前進したいと思っています」
第35回特別研究指定校 横浜市立立野小学校 
右橋康彦 教諭

「実はこの助成をいただいて、思わぬ副産物がありました。ICTの操作が得意な若手の先生と苦手なベテランの先生がお互いの不足している部分を補い合い、得意なことでサポートし合うことで、素晴らしいチームワークが生まれ、教員の雰囲気がより明るくなりました。また、これまで授業で消極的だった子どもたちは、学校に持って来た木の実を実物投影機で見せるなど、発言することへの苦手意識がなくなってきたようです」。
第35回特別研究指定校 岐阜市立本荘小学校 
加藤峰子 教諭

「パソコンやデジタルカメラの数が増え、子どもたちが教師以上に使いこなしています。5、6年生は全員がパワーポイントを使って、修学旅行のガイドブックを作り上げるまでになりました」
第34回特別研究指定校 上越市立城北中学校 
大塚啓 教諭

「ICT機を器もっと充実したいと思っていたところに、助成を受け、赤堀先生のご指導もあり、何とかやってこれた。以前とは、子どもたちの顔つきが生き生きと変わってきたことが何よりうれしい」
十文字学園女子大学教授
井口磯夫 先生

「新指導要領では読解力が求められている。"KY"は状況的な文脈が読めないという意味だが、最近はSY(新聞が読めない)まで増えている。読解力はあらゆることで求められる能力である」

当財団事務局長の下田からは「特別研究指定校は学校全体での取り組みが見られ、より多くのシナジーが感じられた。これからも助成校、研究者に対して、より一層のバックアップをしていきたい」という話がありました。
-取材・執筆・教育情報ライター 足立恵子(サイクルズ・カンパニー)


・平成22年 実践研究助成 成果報告会(概要)

・助成を受けた先生や審査委員の先生方の声